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「ほな、僕お風呂入ってきます」
「お~、いってらっしゃい。ゆっくり入ってきてください」
腕のなかにタオルやら着替えやらの入浴セットをかかえて、子猫丸が部屋をでていった。今朝がた退院してきたものの、まだ完治していない腕を濡らさないようにしなければいけないので、許可をもらって既定の入浴時間外にはいることになったのだ。
「なんや、大変ですねえ」
すでに汗をながし終えていた志摩は、そんな子猫丸の後ろ姿をみおくりながらこっそり溜息をついた。
大変――なのは子猫丸だけではない。勝呂も尋常にないくらい朝から機嫌が悪かった。それはそれで可愛いのだが、同時に若干面倒くさくもある。
「坊、何してはるんですか?」
声をかけたのに返事がないので、勉強机にむかったまま動かない勝呂に近付いてその背後からのぞきこむと、目をとじてぶつぶつと何かを朗読していた。手元に視線を落とすと馴染みのない文体の書物をひらいている。よくみると、それはマタイの福音書の一部のようだった。
(え、坊てヨハネだけじゃなくてマタイ伝も覚えてはるん? マジで?)
何かもう頭よすぎて気持ち悪い。
げんなりして顔をあげる。どうやら集中しているようだし、これ以上話しかけないでおこうと勝呂から離れ自分のベッドに戻ろうとしたとき
「おまえ、俺に何かいうことないんか」
と、とつぜんドスのきいた声でよびとめられた。
「何かって何です?」
いわれた瞬間、だいたいの予想はついた。けれど志摩はあえてそらっとぼける。にらみあげられるとその眼光の鋭さが迫力ありすぎて正直こわいのだが、真剣な勝呂のすがたは大好きなのでそれもまた嬉しかった。
志摩がしらんぷりをすると、途端に勝呂の勢いがしぼんでいく。
「だから、き……昨日の……」
「昨日、何かありましたっけ?」
「おまっ、……俺に……したやろ!」
「何をですか? はっきりいうてもらわんとわからへんのですけど」
「志摩! ええ加減にせぇ!」
勝呂は勢いよく立ちあがって掴みかかってきた。襟ぐりを抑えこまれると、気道をふさがれて息ができず苦しい。
「けほっ……冗談ですて。離してください。……もしかして坊、今日いちにちそのこと考えてはったんですか」
朝一番に退院する子猫丸をむかえにいったときも、せっかくめでたいことだというのに勝呂はムスッとしていて、子猫丸と顔を見合わせたのを思いだす。
そのあとはずっと三人で行動していたせいで二人きりになることがなかった。
昨日寝込みを襲ったことについて、問いいいだす機会をうかがっていたせいで不機嫌だったのかと思うと、あまりにも可愛すぎる。頬がニヤニヤ緩むのを止められない。
「何笑うてんねん」
「すんません。……昨日のことやけど、いうたやないですか、他人の手でしてもろうたほうが気持ちええからしましょーて」
「いやいや、落ちついて考えや。男やで? 何がええねん」
「え。……ようなかったんですか?」
たずねると、勝呂の頬が一瞬で真っ赤になった。
(あ、よかったんや)
わかりやすい反応にこころのなかで安堵する。そもそも気絶したくせに、あれでよくなかったなんていわれたら、かなりショックである。
「あんま難しゅうかんがえんと、肩の力ぬいてもっと気楽にやりましょ。そのほういろいろ楽しいですよ、きっと。……せやから、坊。せっかくやしいまからどうですか?」
そういって笑うと、椅子にすわったままの勝呂に手をさしのべた。
勝呂のベッドの上でにむきあって座り、自分の股間のものを取りだした。この状況に期待してか実は少し半勃ちになってしまっている。
勝呂のも取りだそうと手をのばすと、
「自分でやるわ!」
と、はらわれた。勝呂が自分でパンツをずらしとりだしたイチモツはやっぱり少し勃起している。
「坊……、昨日も思うたんですけど、何でいっつも勃ってはるんですか?」
「は?」
「いやほら、昨日触ったときも勃ってましたやん」
「知るか! ボケ!」
「えー、ボケて酷いわ。ほんまのこというただけやのに」
ブーと唇をすぼめて不満を漏らしながら、勝呂の男根をにぎりしめる。温かい肉棒はちょっと扱いてやると、すぐにむくむく天をむいて起きあがった。ものすごく元気がいい。
「ほら、坊も触ってください」
勝呂の手をにぎるとビクッと反応された。ちらっと視線をやるとかなり緊張しているようだった。
「あー……、無理ならええですけど」
いままでグイグイおしたのでこんどは少しひいてみる。すると、逆に火がついたのか勢いよく掴まれた。
「いたっ!」
「あっ、悪い」
「もっと優しい感じであつかってくださいよー。自分でするときみたいに」
「お、おう……、すまん」
勝呂の手のなかは温かかった。にぎったもののどうしていいのかわからないらしく、たどたどしい手つきで刺激される。無骨な指が本当に愛おしい。
いままで想像したことはあっても、まさか本当にさわってもらえる日がくるなんて思ってもみなかった。感激で胸がじんじんする。
(坊は真面目さんやからなあ)
その性格が顕著にでたのか、どうやら昨日寝込みを襲ったことを本気で“友達同士なら当たり前”ととらえているらしかった。まさに、棚からぼた餅だ。
男同士で扱きあうのは本当に経験したことだけど、実は一回こっきりだった。なぜかというと、気持ちいいけど相手が男と思うと何か集中できなかったからで、でもそのとき自分を握る手が勝呂だったらと想像した瞬間、熱が弾けたのだ。
それ以来、何だか勝呂が可愛くみえてしまうし、いつかそういうことをしてみたいと、ずっとチャンスをうかがっていた。
互いにことばも発することなく、ひたすら性器を擦りあって快感を追う。勝呂は昨日よりは落ちついているようで、声を我慢できている。でもそれはそれでさびしいものがあった。あの艶めいた声をもっときかせてほしい。
志摩は少し悩んだあと、思いきって勝呂のTシャツのなかに手をつっこんだ。掌で肌やわき腹をなでてかたい胸を揉む。
「ちょっ、おまっ、何しとんねん!」
すぐに鉄拳がとんできた。頬にくらったけどそれほど痛くない。もしかして本気で嫌がってはいないのだろうか。調子にのってちくびをキュッとつまんでみた。
「んっ!」
勝呂の身体がビクンっと反応して、手のなかの性器もいっしょにはねる。
「志摩、マジでやめえって」
「こんなん雰囲気ですやん。男でもここ弄ったら気持ちよーなれるらしいですよ」
こりこりのちくびをこねくりまわしてやると、落ちついていた勝呂の声がだんだん荒くなってくる。その感じている表情をみてると、だんだん下腹部が熱くなってきて、握ってもらっている性器が本当に気持ちいい。
でも、まだ足りない。もっともっとこの人がほしい。
「坊、もう少しはよ動かしてもろてええですか?」
ちょっと低めの声でささやいてお願いしてみる。勝呂は無言で扱くスピードをあげた。大きな手につつまれていると、本当に勝呂に挿入しているかのようでかなり気持ちがいい。
(あー、やばいかも)
うねるような熱い波が身体のなかで滾る。このままイケそうだ。うまくやれば同時にっても可能かもしれない。
志摩は昨日みつけておいた、勝呂の弱いところを集中して攻めたてた。ぬるぬるになった性器の擦れるいやらしい音が耳にひびく。それを聞きながら上肢に顔をよせて乳首に唇ですいつくと、そのまま体重をかけて布団に押し倒した。
ふいのことに、苦しそうな、それでいて喘ぐような呻き声が漏れる。
(うわー、すっげえ)
こころのなかで大興奮しながら、もっと感じてほしくて、ちくびをこすったり性器の先っちょや裏筋を弄くりまわす。
すると、急に股間の気持ちいい圧迫感がなくなった。みおろすと勝呂が両手で口をふさいでいる。
その瞬間、勢いよく白いどろっとしたものが握った怒張から噴きだした。びくっびくっと勝呂の身体がなんども痙攣する。
(……坊、イクんはやすぎや)
快感をうしなってイキどきをなくしてしまった。がっかりして自分で自分のイチモチをにぎる。
(まあ、でもこれはこれでおいしすぎるねんけどな)
ベッドの上で服も半分脱げた状態でしかも精液まみれの勝呂のあられもないすがたなんて、写真におさめて永久保存しておきたいくらいだ。呼吸をととのえるのに必死でこちらの様子にはまったく気づいていないのをいいことに、乱れた勝呂をガン見しながら絶頂にたっした。
「どうして窓をあけてはるんですか?」
ほかほかのすがたでもどってきた子猫丸が不思議そうにきいてきた。
「いや、風呂上がりやったら暑いやろおもて~」
「そうなんですか。ありがとうございます。……というか、坊はもう寝てはるんですか? 机の上、そのまんまですけど」
ふだんならきちんと整理整頓をしてから眠るはずなのに、雑然としたままでベッドでうずくまっている勝呂はたしかにとても違和感がある。
「何や、また頭痛うなったらしいねん」
「えっ。大丈夫なんですか?」
「あー、ほっといたら治るみたいやし。ここはそっとしとくためにも、テレビ室行きません?」
いささか強引に子猫丸の手をひく。どろどろのすがたをオカズに抜いたことがバレて結局激怒させてしまった勝呂をのこし、志摩はそっと部屋の扉をしめた。
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