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赤ちゃんと坊! R18

 勝呂の腕のなかで、赤ちゃんはすやすやと眠っていた。
「ちょ、お母! 待ってーや」
 虎子がそそくさと部屋を出ようとするのを、声をあげて制止する。
「さっき寝たばっかりなんやし、そんな大きい声あげんとき。目ぇ覚ましたらまた泣きだすんやから、起こしたらあかんえ」
「いやいやいや、待てってコラ。なんで俺がみなあかんねん。他に誰かいてるやろ」
 こんどはできるだけ声を顰めて、逃げかけ寸前の母親を睨みつけた。
「これから団体さんが来はるし、みんな手ぇいっぱいなんよ。あんたどうせ暇しとるんやろ?」
「暇ちゃうし。もうすぐ志摩と出かける予定があるわ」
「ほら暇しとるやん。廉造君とふたりでその子みとくんやで。ほんの二、三時間のことや。ええな」
 ギロリと睨みかえされて怯んだ隙に、虎子は部屋を出ていってしまった。
「マジかよ……」
 部屋に取り残された勝呂は、赤ちゃんを抱いたまま茫然とベッドに座りこんだ。
 
 
 
   
♡♡♡
 
 
 
 
 志摩はやってくるなり、ポカーンとなっていた。パチパチと目を瞬かせ、呆気にとられたまま、その視線が自分と腕のなかの赤ん坊を行ったり来たりしている。
「坊……」
「……何や」
 ムスッとして、入口に立ったままの志摩を見上げると、急にぷるぷると震えだし、勢いよく詰め寄ってきた。
「いつ産まはったんですか!? 俺!? 俺の子!?」
 肩を掴まれるなり大きな声を上げられて、思わず頭突きを喰らわせる。ゴチッ! と音がして、するどい痛みが頭に広がった。
「ってー!!」
 不意打ちに、志摩は額を押さえて床に転がる。
「でかい声あげるなや! 起きるやろ!」
 叫んだ瞬間、腕の中の赤子が「ふえ……」とひと声漏らした。
「あ」と思ったときは遅かった。
「ぴぎゃああああああ!!!」
 まるで怪獣が襲来したかのような声で、腕のなかの赤ん坊が泣きはじめてしまった。
「あ~、しもた。ほら、すまんすまん。ええ子やから泣くな、ほら」
 腕を揺すってなんとかご機嫌をとる。それでも泣きやむことはなくて、怪獣はぎゃんぎゃんとわめいていた。お手上げだ。
「志摩、おまえもちったあ手伝えや」
 額をさすりながら床であぐらをかいている志摩に文句をいうと、不機嫌な顔でそっぽを向かれた。
「やって、きて早々頭突き喰らわせるし、意味わかりませんもん」
「さっきのは悪かったわ。この子起こしたなかってん」
 結果的に自分が原因で赤ん坊が泣きわめいていることを考えると、志摩は明らかにとばっちりだった。
「もうええです。で、何ですのん、その子」
「よう分からへんけど、二、三時間預かってくれて言われた。お母に」
「ほなデートはなし?」
「……まあそやな」
 こたえると志摩はさらにムッとしてしまった。
「しゃーないやろ。誰も手ぇ空いてないて、勝手に置いていきよったんやから」
 あやす相手がふたりに増えてイライラがつのるのを何とか腹の内で抑える。
「な、機嫌なおし。おまえ、下に兄弟欲しいていうとったやろ」
「それいつの話ですか。別にいまは欲しないし。末っ子でよかったて思てるし」
 取りつくシマもない。すっかり拗ねてしまったようすに諦めて、赤ん坊を腕のなかで大きく揺すった。赤ん坊は鼻水とよだれにまみれて大泣きしていて、それを渡されていたガーゼのように布で拭いてやった。けれど、どんなにあやしても泣きやんでくれなくて、こちらまで泣きそうになる。すると、そっぽを向いていた志摩が口をひらいた。
「腹減ってるんとちゃいます?」
「腹? さっきミルク飲ませたて言うとったで」
「飲ませるふりだけしとったら騙されるんとちゃいますのん。ほら、こうやって」
 志摩は近づいてくるなり、赤ん坊の頭を持ちあげて胸に押しつけてきた。やわらかい温もりが胸元に広がる。
「こうか……?」
 とにかく泣きやませたくて、言われた通り胸筋のふくらみのまんなかにある乳首に赤ん坊の口元を近づけた。志摩が小さな手を握って胸のあたりを触らせた。
「ほら、坊のおちちでちゅよー」
 そういう顔つきは思いっきり笑いを噛み殺していて、遊ばれたことに気づいた。
 腹がカッと熱くなって、叱り飛ばそうと口を開いた矢先、赤ん坊の泣き声が途絶えた。
「あ、ほら! ちょっと機嫌ようなりましたよ!」
 腕のなかを見下ろすと、志摩にいざなわれながら胸元を一生けん命まさぐってくる。その仕種がむず痒くて、ジッと見つめた。
「泣きやんだな」
 しばらくして、すっかりご機嫌になった赤ん坊はそれなりに可愛かった。ベッドの上にタオルを敷いて、その上にそっと寝かせてやる。志摩もやっと興味を示したのか興味津々に覗きこんでいた。頬をさわったり指を握らせたりしてあやしはじめる。やっとふたりの機嫌がおさまって、勝呂は胸を撫でおろした。
「泣かへんかったら可愛ええのに」
「無茶言うなや」
「子供ええなあ。俺も子供欲しいですわー、坊の」
「何言うとんねん、アホか」
「俺が女の子やったら、坊と結婚して坊の赤ちゃん産めるのに」
 志摩の声は何だか寂しそうだった。
「訳わからへんこと言うなや。それに、もし結婚して赤ちゃんできたとしても、産むんは俺やろ?」
 女役をやっているのはこちらなのだから、志摩が産むというのは間違いだ。そう思って否定しただけだった。けれど、それが失言だったと気づいたのは、志摩の目を剥いた顔を見たときだった。
 ――しまった、と思ったのとほぼ同じタイミングでベッドに押し倒された。スプリングが大きく弾んで、慌てて赤ん坊のようすをうかがうと、はねたのが嬉しいのか手足をバタつかせていた。
「危ないやろ! 何すんねん!」
「坊! 子作りしましょ!」
「はあ!?!?」
 
♡♡♡
 
 火がついたらしい志摩の動きは、あまりにも早かった。
 赤ん坊が落ちないようベッドの壁ぎわに移動させると、すぐに服を脱がされた。暴れたらまた泣きだすかもしれないと思うと、抵抗らしい抵抗もできなかった。
 志摩はすぐに挿入してきた。正常位で受けいれながら、声を上げないよう口を押さえて痛みを我慢する。ジェルをぬって少しほぐした程度ではあまり身体が準備できていなくて、いつもより痛かった。
「あ~、やっぱナマはええな~」
 うっとりと呟く声に、ハッと我にかえる。
「おまっ、ゴムつけてへんのか!」
「うっ……、ちょお、坊、力いれんといてください。あ~~出そうっ」
 志摩はビクビク震えながら天井を見上げていた。ひとりでかなり気持ちよさそうで、その姿にいらっとした。
「ふー……、何とか耐えた」
「……聞けやコラ。なんでゴムしてないねん」
「やって、子供作んのにゴムつけたらダメですやん」
 以前ナマで性行為は危険だからダメだと散々教えたのに、それをあっさり破られてしまったことがショックだった。
「抜け、いますぐ」
 睨みつけても、志摩はいうことを聞かなかった。
動かれるとだんだん身体が慣れてくる。そうしたらすぐに気持ちよくなってきて、一回くらいならいいかという気になってきた。足をM字に開いて、志摩の突き上げに揺さぶられていると、こちらを穢れのない瞳で見つめてくる赤ん坊と目が合った。その瞬間、頬が一気に熱くなる。
「やっぱ、やめぇ。……赤ん坊が見とる」
「え? あー……、どうせわかりませんよ。赤ちゃんですし」
 志摩は抽挿をやめず、そればかりか腰を思いきり使いはじめた。うしろの孔をガンガン掘られて、強烈な快感が奥の深いところ全身にぶわっと溢れだした。急な刺激についていけず思わず声がでる。
「あっ」
「声あきませんって」
 注意されると素直に口を噤んだ。両膝を抱えられて激しく突き上げられると、つっこまれたちんこの先端が前立腺にどんぴしゃにあたって気持ちいい。下半身がとけそうだった。
 ダメや、きもちええ
 声をだせない苦しさが余計に甘くて目頭がじわりと熱くなった。
 もう出るっ! 射精寸前まで追いつめられてちんこがビクビク震えたそのとき、何かにぎゅっと掴まれた。目を開くとそれは志摩の掌だった。
「何――」
「……中にだしたら、孕むやろか?」
 言っている意味がわからなくて、涙目で顔を見上げた。
「中にだしてもええですか?」
 そんなのダメに決まっている。首を横に振ると志摩は眉間に皺をよせた。そのままこたえないでいると、あっさり動きが再開された。けれどホッとする間もなく、下肢の苦しさに視線を向ける。天をむいて勃起したちんこは握りしめられたままで、先端は塞がれてしまっていた。
「手……どけぇ」
「ほな、俺の子、産んでくれます?」
 できもしない要求がじれったくて、睨みつけた。志摩は折れることはなくて、出口を塞がれたまま奥を突き上げられる。気持ちいいのにイケなくて身悶えた。邪魔な志摩の手を何度も引っ掻く。
「手ぇはずせっ、もう嫌や」
その瞬間、何かがきそうだった。
「あかん」
 ひとことだけ漏らすと怖くなって口元を押さえた。じゅわっとした甘い感覚が奥から物凄い勢いで這い上がってくると、射精したような感覚が襲いかかってきた。身体の筋肉がびくっびくっと収縮して、全身が死ぬほど気持ちいい。
「坊……?」
 志摩が異変に気づいたのか顔をよせてくる。その肩に腕を回して、両足を腰に巻きつけた。
「ちょっ、坊?」
 快感の波はとまらなくて、痙攣する身体で志摩にしがみつく。初めての感覚が怖かった。
「あれ? もしかしてイってしもた? ドライ?」
 聞かれてもこたえられない。気持ちよすぎて意識がはっきりしなかった。
 志摩はそれ以上何も言うことはなかった。性器をようやく解放してもらえると、巻きつけた足をといた。
 そこからもう余り記憶がない。頭のなかが真っ白になって「気持ちいい」以外、何もなかった。
 仰向けで志摩に足を開いてひたすら揺さぶられた。頭のてっぺんから爪の先まで、激しい快感に支配された。
「すっげっ、締まるっ!」
「んっんっ」
 口は志摩の掌で塞がれていた。我慢できなくて途中で喘いでしまったからだ。絶頂感が止まらなくて、気が狂いそうだった。
「な、坊、種付けしてええ?」
 志摩の嬉しそうな声が降ってきた瞬間、動きが激しく小刻みになって口を塞いでいた手がなくなった。瞬間、声が怒涛のように溢れる。
「んあっ、あっあっ! イク、いくっ!」
「な、坊、産むっていうて」
「産……っから、頼むから、もう勘弁せぇ……っ!」
 一番強い射精の感覚がきそうだった。よくわからないまま首を縦に振る。早く解放してほしい。
「ああっ!」
 追いあげられる勢いはとまらず、そのまま一気に熱を放つ。やっと絶頂感から抜けだせて、涙で視界が滲んだ。
「うっあっ!」
 志摩が喘いで覆いかぶさってきた。その身体はビクン、ビクン、と痙攣していた。
 しばらくして志摩が起きあがると穴から濃厚な種がどろりと出てきた。けれど、余韻に包まれた身体を動かす気力はなくて、ベッドに横たわったままでいた。
「……ドライいきって、ほんまにあるんですね」
 志摩がぽつりと呟く。色々いいたいことがあるけれど、力が抜けすぎていいかえせなかった。
「赤ちゃん寝とるし。揺らしたんがよかったんですかねえ」
 夢中になりすぎて、すっかりその存在を忘れていた。我に返って赤ん坊を見やると、よだれを垂らして眠っていた。その表情に安堵する。そしてふつふつと怒りが湧いてきた。
「おまえ……こんなことして、後で覚えとけよ」
「え?」
「動けるようになったら、きっちりケジメつけてもらうで」
「え、ケジメて。待ってくださいよ。坊かて、かつてないくらい燃えて――んぶっ!」
 いいわけをはじめた志摩に枕を投げつけた。これ以上聞きたくなかった。
 
♡♡♡
 
 赤ん坊を迎えにきた母親を玄関の外で見送った。車が見えなくなると志摩ががっくりと肩を落とした。
「たったちょっとの間やったのに、離れたら何や寂しいですね~」
「何いうてんねん。ほとんどみてへんかったやろ」
 呆れて言いかえすと、志摩は急に顔をあげてニヤつきだした。
「まあ、坊が産んでくれるていわはったからそれに期待しますわ~」
 その台詞に頭の線がぶちっと切れた。無言で玄関に入ると、志摩を外にのこしたまま扉を閉めて鍵をかけた。
「え! 坊、ちょっと開けてくださいよ!」
 慌てた声で扉をガンガン叩いてくる。勝呂はそれに背中を向けて、部屋へと戻っていった。
 
 
 
 めでたしめでたし!
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