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  <title type="text">紺屋町</title>
  <subtitle type="html">テニス・青エクの二次小説展示</subtitle>
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  <updated>2010-02-07T03:28:32+09:00</updated>
  <author><name>紺屋町</name></author>
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    <published>2011-12-01T10:46:32+09:00</published> 
    <updated>2011-12-01T10:46:32+09:00</updated> 
    <category term="しますぐ" label="しますぐ" />
    <title>赤ちゃんと坊！ R18</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[<div>
	　勝呂の腕のなかで、赤ちゃんはすやすやと眠っていた。</div>
<div>
	「ちょ、お母！　待ってーや」</div>
<div>
	　虎子がそそくさと部屋を出ようとするのを、声をあげて制止する。</div>
<div>
	「さっき寝たばっかりなんやし、そんな大きい声あげんとき。目ぇ覚ましたらまた泣きだすんやから、起こしたらあかんえ」</div>
<div>
	「いやいやいや、待てってコラ。なんで俺がみなあかんねん。他に誰かいてるやろ」</div>
<div>
	　こんどはできるだけ声を顰めて、逃げかけ寸前の母親を睨みつけた。</div>
<div>
	「これから団体さんが来はるし、みんな手ぇいっぱいなんよ。あんたどうせ暇しとるんやろ？」</div>
<div>
	「暇ちゃうし。もうすぐ志摩と出かける予定があるわ」</div>
<div>
	「ほら暇しとるやん。廉造君とふたりでその子みとくんやで。ほんの二、三時間のことや。ええな」</div>
<div>
	　ギロリと睨みかえされて怯んだ隙に、虎子は部屋を出ていってしまった。</div>
<div>
	「マジかよ&hellip;&hellip;」</div>
<div>
	　部屋に取り残された勝呂は、赤ちゃんを抱いたまま茫然とベッドに座りこんだ。</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	　　　</div>
<div>
	♡♡♡</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	　志摩はやってくるなり、ポカーンとなっていた。パチパチと目を瞬かせ、呆気にとられたまま、その視線が自分と腕のなかの赤ん坊を行ったり来たりしている。</div>
<div>
	「坊&hellip;&hellip;」</div>
<div>
	「&hellip;&hellip;何や」</div>
<div>
	　ムスッとして、入口に立ったままの志摩を見上げると、急にぷるぷると震えだし、勢いよく詰め寄ってきた。</div>
<div>
	「いつ産まはったんですか！？　俺！？　俺の子！？」</div>
<div>
	　肩を掴まれるなり大きな声を上げられて、思わず頭突きを喰らわせる。ゴチッ！　と音がして、するどい痛みが頭に広がった。</div>
<div>
	「ってー！！」</div>
<div>
	　不意打ちに、志摩は額を押さえて床に転がる。</div>
<div>
	「でかい声あげるなや！　起きるやろ！」</div>
<div>
	　叫んだ瞬間、腕の中の赤子が「ふえ&hellip;&hellip;」とひと声漏らした。</div>
<div>
	「あ」と思ったときは遅かった。</div>
<div>
	「ぴぎゃああああああ！！！」</div>
<div>
	　まるで怪獣が襲来したかのような声で、腕のなかの赤ん坊が泣きはじめてしまった。</div>
<div>
	「あ～、しもた。ほら、すまんすまん。ええ子やから泣くな、ほら」</div>
<div>
	　腕を揺すってなんとかご機嫌をとる。それでも泣きやむことはなくて、怪獣はぎゃんぎゃんとわめいていた。お手上げだ。</div>
<div>
	「志摩、おまえもちったあ手伝えや」</div>
<div>
	　額をさすりながら床であぐらをかいている志摩に文句をいうと、不機嫌な顔でそっぽを向かれた。</div>
<div>
	「やって、きて早々頭突き喰らわせるし、意味わかりませんもん」</div>
<div>
	「さっきのは悪かったわ。この子起こしたなかってん」</div>
<div>
	　結果的に自分が原因で赤ん坊が泣きわめいていることを考えると、志摩は明らかにとばっちりだった。</div>
<div>
	「もうええです。で、何ですのん、その子」</div>
<div>
	「よう分からへんけど、二、三時間預かってくれて言われた。お母に」</div>
<div>
	「ほなデートはなし？」</div>
<div>
	「&hellip;&hellip;まあそやな」</div>
<div>
	　こたえると志摩はさらにムッとしてしまった。</div>
<div>
	「しゃーないやろ。誰も手ぇ空いてないて、勝手に置いていきよったんやから」</div>
<div>
	　あやす相手がふたりに増えてイライラがつのるのを何とか腹の内で抑える。</div>
<div>
	「な、機嫌なおし。おまえ、下に兄弟欲しいていうとったやろ」</div>
<div>
	「それいつの話ですか。別にいまは欲しないし。末っ子でよかったて思てるし」</div>
<div>
	　取りつくシマもない。すっかり拗ねてしまったようすに諦めて、赤ん坊を腕のなかで大きく揺すった。赤ん坊は鼻水とよだれにまみれて大泣きしていて、それを渡されていたガーゼのように布で拭いてやった。けれど、どんなにあやしても泣きやんでくれなくて、こちらまで泣きそうになる。すると、そっぽを向いていた志摩が口をひらいた。</div>
<div>
	「腹減ってるんとちゃいます？」</div>
<div>
	「腹？　さっきミルク飲ませたて言うとったで」</div>
<div>
	「飲ませるふりだけしとったら騙されるんとちゃいますのん。ほら、こうやって」</div>
<div>
	　志摩は近づいてくるなり、赤ん坊の頭を持ちあげて胸に押しつけてきた。やわらかい温もりが胸元に広がる。</div>
<div>
	「こうか&hellip;&hellip;？」</div>
<div>
	　とにかく泣きやませたくて、言われた通り胸筋のふくらみのまんなかにある乳首に赤ん坊の口元を近づけた。志摩が小さな手を握って胸のあたりを触らせた。</div>
<div>
	「ほら、坊のおちちでちゅよー」</div>
<div>
	　そういう顔つきは思いっきり笑いを噛み殺していて、遊ばれたことに気づいた。</div>
<div>
	　腹がカッと熱くなって、叱り飛ばそうと口を開いた矢先、赤ん坊の泣き声が途絶えた。</div>
<div>
	「あ、ほら！　ちょっと機嫌ようなりましたよ！」</div>
<div>
	　腕のなかを見下ろすと、志摩にいざなわれながら胸元を一生けん命まさぐってくる。その仕種がむず痒くて、ジッと見つめた。</div>
<div>
	「泣きやんだな」</div>
<div>
	　しばらくして、すっかりご機嫌になった赤ん坊はそれなりに可愛かった。ベッドの上にタオルを敷いて、その上にそっと寝かせてやる。志摩もやっと興味を示したのか興味津々に覗きこんでいた。頬をさわったり指を握らせたりしてあやしはじめる。やっとふたりの機嫌がおさまって、勝呂は胸を撫でおろした。</div>
<div>
	「泣かへんかったら可愛ええのに」</div>
<div>
	「無茶言うなや」</div>
<div>
	「子供ええなあ。俺も子供欲しいですわー、坊の」</div>
<div>
	「何言うとんねん、アホか」</div>
<div>
	「俺が女の子やったら、坊と結婚して坊の赤ちゃん産めるのに」</div>
<div>
	　志摩の声は何だか寂しそうだった。</div>
<div>
	「訳わからへんこと言うなや。それに、もし結婚して赤ちゃんできたとしても、産むんは俺やろ？」</div>
<div>
	　女役をやっているのはこちらなのだから、志摩が産むというのは間違いだ。そう思って否定しただけだった。けれど、それが失言だったと気づいたのは、志摩の目を剥いた顔を見たときだった。</div>
<div>
	　――しまった、と思ったのとほぼ同じタイミングでベッドに押し倒された。スプリングが大きく弾んで、慌てて赤ん坊のようすをうかがうと、はねたのが嬉しいのか手足をバタつかせていた。</div>
<div>
	「危ないやろ！　何すんねん！」</div>
<div>
	「坊！　子作りしましょ！」</div>
<div>
	「はあ！？！？」</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	♡♡♡</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	　火がついたらしい志摩の動きは、あまりにも早かった。</div>
<div>
	　赤ん坊が落ちないようベッドの壁ぎわに移動させると、すぐに服を脱がされた。暴れたらまた泣きだすかもしれないと思うと、抵抗らしい抵抗もできなかった。</div>
<div>
	　志摩はすぐに挿入してきた。正常位で受けいれながら、声を上げないよう口を押さえて痛みを我慢する。ジェルをぬって少しほぐした程度ではあまり身体が準備できていなくて、いつもより痛かった。</div>
<div>
	「あ～、やっぱナマはええな～」</div>
<div>
	　うっとりと呟く声に、ハッと我にかえる。</div>
<div>
	「おまっ、ゴムつけてへんのか！」</div>
<div>
	「うっ&hellip;&hellip;、ちょお、坊、力いれんといてください。あ～～出そうっ」</div>
<div>
	　志摩はビクビク震えながら天井を見上げていた。ひとりでかなり気持ちよさそうで、その姿にいらっとした。</div>
<div>
	「ふー&hellip;&hellip;、何とか耐えた」</div>
<div>
	「&hellip;&hellip;聞けやコラ。なんでゴムしてないねん」</div>
<div>
	「やって、子供作んのにゴムつけたらダメですやん」</div>
<div>
	　以前ナマで性行為は危険だからダメだと散々教えたのに、それをあっさり破られてしまったことがショックだった。</div>
<div>
	「抜け、いますぐ」</div>
<div>
	　睨みつけても、志摩はいうことを聞かなかった。</div>
<div>
	動かれるとだんだん身体が慣れてくる。そうしたらすぐに気持ちよくなってきて、一回くらいならいいかという気になってきた。足をＭ字に開いて、志摩の突き上げに揺さぶられていると、こちらを穢れのない瞳で見つめてくる赤ん坊と目が合った。その瞬間、頬が一気に熱くなる。</div>
<div>
	「やっぱ、やめぇ。&hellip;&hellip;赤ん坊が見とる」</div>
<div>
	「え？　あー&hellip;&hellip;、どうせわかりませんよ。赤ちゃんですし」</div>
<div>
	　志摩は抽挿をやめず、そればかりか腰を思いきり使いはじめた。うしろの孔をガンガン掘られて、強烈な快感が奥の深いところ全身にぶわっと溢れだした。急な刺激についていけず思わず声がでる。</div>
<div>
	「あっ」</div>
<div>
	「声あきませんって」</div>
<div>
	　注意されると素直に口を噤んだ。両膝を抱えられて激しく突き上げられると、つっこまれたちんこの先端が前立腺にどんぴしゃにあたって気持ちいい。下半身がとけそうだった。</div>
<div>
	　ダメや、きもちええ</div>
<div>
	　声をだせない苦しさが余計に甘くて目頭がじわりと熱くなった。</div>
<div>
	　もう出るっ！　射精寸前まで追いつめられてちんこがビクビク震えたそのとき、何かにぎゅっと掴まれた。目を開くとそれは志摩の掌だった。</div>
<div>
	「何――」</div>
<div>
	「&hellip;&hellip;中にだしたら、孕むやろか？」</div>
<div>
	　言っている意味がわからなくて、涙目で顔を見上げた。</div>
<div>
	「中にだしてもええですか？」</div>
<div>
	　そんなのダメに決まっている。首を横に振ると志摩は眉間に皺をよせた。そのままこたえないでいると、あっさり動きが再開された。けれどホッとする間もなく、下肢の苦しさに視線を向ける。天をむいて勃起したちんこは握りしめられたままで、先端は塞がれてしまっていた。</div>
<div>
	「手&hellip;&hellip;どけぇ」</div>
<div>
	「ほな、俺の子、産んでくれます？」</div>
<div>
	　できもしない要求がじれったくて、睨みつけた。志摩は折れることはなくて、出口を塞がれたまま奥を突き上げられる。気持ちいいのにイケなくて身悶えた。邪魔な志摩の手を何度も引っ掻く。</div>
<div>
	「手ぇはずせっ、もう嫌や」</div>
<div>
	その瞬間、何かがきそうだった。</div>
<div>
	「あかん」</div>
<div>
	　ひとことだけ漏らすと怖くなって口元を押さえた。じゅわっとした甘い感覚が奥から物凄い勢いで這い上がってくると、射精したような感覚が襲いかかってきた。身体の筋肉がびくっびくっと収縮して、全身が死ぬほど気持ちいい。</div>
<div>
	「坊&hellip;&hellip;？」</div>
<div>
	　志摩が異変に気づいたのか顔をよせてくる。その肩に腕を回して、両足を腰に巻きつけた。</div>
<div>
	「ちょっ、坊？」</div>
<div>
	　快感の波はとまらなくて、痙攣する身体で志摩にしがみつく。初めての感覚が怖かった。</div>
<div>
	「あれ？　もしかしてイってしもた？　ドライ？」</div>
<div>
	　聞かれてもこたえられない。気持ちよすぎて意識がはっきりしなかった。</div>
<div>
	　志摩はそれ以上何も言うことはなかった。性器をようやく解放してもらえると、巻きつけた足をといた。</div>
<div>
	　そこからもう余り記憶がない。頭のなかが真っ白になって「気持ちいい」以外、何もなかった。</div>
<div>
	　仰向けで志摩に足を開いてひたすら揺さぶられた。頭のてっぺんから爪の先まで、激しい快感に支配された。</div>
<div>
	「すっげっ、締まるっ！」</div>
<div>
	「んっんっ」</div>
<div>
	　口は志摩の掌で塞がれていた。我慢できなくて途中で喘いでしまったからだ。絶頂感が止まらなくて、気が狂いそうだった。</div>
<div>
	「な、坊、種付けしてええ？」</div>
<div>
	　志摩の嬉しそうな声が降ってきた瞬間、動きが激しく小刻みになって口を塞いでいた手がなくなった。瞬間、声が怒涛のように溢れる。</div>
<div>
	「んあっ、あっあっ！　イク、いくっ！」</div>
<div>
	「な、坊、産むっていうて」</div>
<div>
	「産&hellip;&hellip;っから、頼むから、もう勘弁せぇ&hellip;&hellip;っ！」</div>
<div>
	　一番強い射精の感覚がきそうだった。よくわからないまま首を縦に振る。早く解放してほしい。</div>
<div>
	「ああっ！」</div>
<div>
	　追いあげられる勢いはとまらず、そのまま一気に熱を放つ。やっと絶頂感から抜けだせて、涙で視界が滲んだ。</div>
<div>
	「うっあっ！」</div>
<div>
	　志摩が喘いで覆いかぶさってきた。その身体はビクン、ビクン、と痙攣していた。</div>
<div>
	　しばらくして志摩が起きあがると穴から濃厚な種がどろりと出てきた。けれど、余韻に包まれた身体を動かす気力はなくて、ベッドに横たわったままでいた。</div>
<div>
	「&hellip;&hellip;ドライいきって、ほんまにあるんですね」</div>
<div>
	　志摩がぽつりと呟く。色々いいたいことがあるけれど、力が抜けすぎていいかえせなかった。</div>
<div>
	「赤ちゃん寝とるし。揺らしたんがよかったんですかねえ」</div>
<div>
	　夢中になりすぎて、すっかりその存在を忘れていた。我に返って赤ん坊を見やると、よだれを垂らして眠っていた。その表情に安堵する。そしてふつふつと怒りが湧いてきた。</div>
<div>
	「おまえ&hellip;&hellip;こんなことして、後で覚えとけよ」</div>
<div>
	「え？」</div>
<div>
	「動けるようになったら、きっちりケジメつけてもらうで」</div>
<div>
	「え、ケジメて。待ってくださいよ。坊かて、かつてないくらい燃えて――んぶっ！」</div>
<div>
	　いいわけをはじめた志摩に枕を投げつけた。これ以上聞きたくなかった。</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	♡♡♡</div>
<div>
	　</div>
<div>
	　赤ん坊を迎えにきた母親を玄関の外で見送った。車が見えなくなると志摩ががっくりと肩を落とした。</div>
<div>
	「たったちょっとの間やったのに、離れたら何や寂しいですね～」</div>
<div>
	「何いうてんねん。ほとんどみてへんかったやろ」</div>
<div>
	　呆れて言いかえすと、志摩は急に顔をあげてニヤつきだした。</div>
<div>
	「まあ、坊が産んでくれるていわはったからそれに期待しますわ～」</div>
<div>
	　その台詞に頭の線がぶちっと切れた。無言で玄関に入ると、志摩を外にのこしたまま扉を閉めて鍵をかけた。</div>
<div>
	「え！　坊、ちょっと開けてくださいよ！」</div>
<div>
	　慌てた声で扉をガンガン叩いてくる。勝呂はそれに背中を向けて、部屋へと戻っていった。</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	&nbsp;</div>
<div>
	　めでたしめでたし！</div>
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    </content>
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            <name>紺屋町</name>
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    <published>2011-10-14T14:19:36+09:00</published> 
    <updated>2011-10-14T14:19:36+09:00</updated> 
    <category term="柔勝" label="柔勝" />
    <title>一夜かぎりの　R18</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[　ホテルのドアを開いたとき、坊の顔が強ばった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　それは一瞬だったけれど、柔造は見逃さなかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<p class="chapter" id="chapter_1_0" style="font-family: メイリオ, Meiryo, sans-serif; margin-top: 10px; margin-right: 0px; margin-bottom: 10px; margin-left: 0px; padding-top: 0px; padding-right: 0px; padding-bottom: 0px; padding-left: 0px; line-height: 2; font-weight: bold; font-size: 16px; ">
	<br />
	<br />
	<br />
	&nbsp;</p>
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　京都市内でも有数のホテルの一部屋をとった。安いファッションホテルにしなかったのは、おそらく緊張しているであろう坊のためだった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　部屋に入るとシングルベッドが二つ並んでいた。丁寧にメイキングされている。手前のベッドに腰をおろし、スーツの上着を脱ぎハンガーにかけネクタイを緩める。坊は入口でつったったままだった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;風呂、先ええですか？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　たずねると、坊は無言で頷いた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　白くやわらかいタオルを手にトイレのついたバスルームに入る。熱い湯を頭から浴びながら、悪い想像ばかりが浮かんでは消えた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊に最後の冷静になる機会を与えた。成り行きでこんな展開になって、まだ高校生の坊には迷いがあるに違いない。だけど、風呂を出て本当にいなかったらと思うと胸の奥がちりちりする。それに下肢がざわついて落ち着かなかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　シャワーを浴びタオルで髪の水気を拭きながらバスルームをでる。坊は奥のベッドに座っていた。想像は想像で終わった。もう坊に逃げるチャンスはない。やっぱり嫌だといわれても、やめてやるつもりはなかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　続いて坊もシャワーを浴びると、ホテル備えつけの浴衣ででてきた。開いた合わせ目から成長期の胸元がのぞいて、股間が熱くなった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何か飲みますか？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　無言でいるのもつらくて、ベッドから降りて冷蔵庫を開ける。中にはアルコールとジュースをとお茶が並んでいた。缶ビールと坊用に炭酸飲料を取りだす。反対側のベッドに座っていた坊に渡すと、すこし安堵した表情になった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「サンキュ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　これで少しでも和んでもらえるとありがたかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　缶のプルトップをあけてビールを一気に飲む。苦みが広がって心地よかった。空腹のせいか酔いはすぐにまわった。頭の中が妙に浮上して気が大きくなる。半分以上ビールを残したままサイドテーブルに缶を置くと、坊が座っているベッドに上がった。大の男二人分の重みでシングルベッドが軋む。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊が身構える隙もあたえず背後から抱きしめた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ちょっ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　腕の中の身体は一瞬でこわばった。ジュースを持つ手が震えている。缶をそっと奪いサイドテーブルにどけた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「柔造」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　名前を呼ばれて横顔を見つめる。坊はこちらから顔をそむけて、震える声を紡いだ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;電気、&hellip;&hellip;消してくれ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　唇を軽めに吸いながら浴衣を剥ぐ。肌を撫でるとあからさまにびくっと身体が跳ねた。緊張が続いているのか指の先までガチガチだった。肩を掴みそのままゆっくり指で這うと、すべらかで筋肉の硬い感触が男を実感させた。少年だとばかり思っていたのに、いつの間にか立派になって妙に感慨深くなった。胸元を愛撫し小さな乳首をつまむと、また身体が跳ねて重ねた唇がぴくりと動いた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「男でも胸って感じるんですね」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　ちょっとおかしくなって呟く。坊は無言だった。暗くてどんな表情をしているのかわからないのかが残念だ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　乳首はすぐに硬くなった。吸うだけだった唇を割り、口のなかに舌を入れる。咥内は熱くて女と大差なかった。逃げる舌をつかまえて唾液を擦りあわせると、無言だった坊の吐息がかすかに漏れる。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「んっ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　これまで聞いたことのない艶めいた声に興奮した。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　唇を離すと、上半身を舐めてじっくりと慈しむ。けれども坊の緊張がとけることはなかった。ただ、ときどき抜けるような微かなはな息だけが、坊も気持ちよくなっているのだと伝えてくれる。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　タチの経験はあっても、ネコのきもちはわからない。それにこれまで抱関係した手慣れた同性たちよりも、坊の身体は気むずかしかった。あの手この手をくわえるけれど、坊はシーツを握りしめたままで、楽しむ余裕などなさそうだった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　せっかく肌を合わせるのだ。どうせなら骨の髄まで楽しませてやりたかった。だけど、それはどうも無理らしい。自分がセックスを下手だとは思ったことはないけれど、ちょっと自信喪失しそうだった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　浴衣の帯は取らず、こんどは下肢の裾から手をつっこんで内股を撫でる。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「待てっ！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　途端に坊の両足が勢いよく閉じた。掌を挟まれて動かせない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊、これじゃできませんよ。足開いてください」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;嫌や」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊、乱暴なことはしたないんです。開いて、ね？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　それでも頑なな足が開かれることなくて、坊の膝裏を持ち上げて無理やり片足を開いてやった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「やめっ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　怯んだ隙にもう片膝も押し開き、両足の間に入り込む。これで、もう足を閉じることはできない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　視界が暗闇に慣れて坊の動きがみえる。両腕で顔を隠しているのがわかった。恥ずかしいのだ。それもそうか。ひと前で股を開くなんて、男なら考えもしないことだ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　覆い被さって腕をそっとはずしてやる。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「すんません」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　気休めに謝った。それでもやめる気はさらさらなかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　帯から下が完全に開いた浴衣のなかから、坊のペニスが飛び出ていた。夜目にもそれが天井むけてビンビンなのがわかる。勃起しているのもそうだが、何より下着を穿いてないことに驚いた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「あの、坊&hellip;&hellip;、なんでパンツ穿いてへんのですか？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　まさか準備ＯＫってわけでもないだろう。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;着替え持ってへんかったから。風呂入ったのに下着そのまんまは汚いやろ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　かすかな声でこたえが返ってきた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「そう。そうですね」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　賛同しながら、帰るときはノーパンなのかとつっこみたくなったけど我慢した。ムードを壊すことはしたくない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊の顔をみると、横に背けて唇を噛んでいるのがみえた。そのようすを見つめながら、そっと坊の大事なところを握りしめた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「――あっ！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊は甲高い声をあげて開いた両足が大きくしなった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「嫌や！　やっぱやめえっ！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　急に肩を掴まれて力一杯の抵抗がはじまった。突き飛ばされないよう身体を押さえつける。バタつく足がうっとうしかった。堪えながらペニスを数回擦ると、一瞬で抵抗はなくなり、先っぽから汁が溢れだしてくる。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「あっあっ！　&hellip;&hellip;柔、造&hellip;&hellip;やめえ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊は震えながらそれでも拒絶した。その初心な反応にふと疑惑が浮かぶ。思いきってたずねた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊、もしかして、女とも&hellip;&hellip;ないんですか？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊は無言だった。それがすべてを肯定していた。いいようのない高揚感に火がつく。自分のアレがぐんっと持ち上がったのが見なくてもわかった。新雪を踏みしめる直前の高鳴りは筆舌に尽くしがたいものがあった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　けれど、そこには激しい罪悪感が寄り添っていた。嫌がってもやめてやる気なんてなかった。しかしまっさらなのだとわかってしまうと、その綺麗な身体に傷をつけることには躊躇する。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　やめろといいながら、掌中の坊は硬いままだった。それにもう暴れる気配はなくて、多分坊の中の理性が負けたのだと思った。だったら、せめてこれだけは解放してやりたい。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　ゆっくりと動きを再開する。坊はひと声も漏らすまいとでもいうように両手で口を押さえていた。無音になった室内にぬるついた我慢汁の濡れた音だけが響く。まだ大人に成りきっていないペニスの皮が余ってよく動く<br style="letter-spacing: 0px; " />
　一分ほど扱いたあと裏筋を擦り先っぽの割れ目をぐりぐりしてやると、坊が激しく身悶えた。ここが気持ちいいのかと思った途端、とぴゅっと精液が噴きだす。噴水ように勢いがよくて大量で、そのまま腹に散った。射精を終えると坊の身体は痙攣していた。こんなに早くイかれるとは思っていなくて、呆気に取られながら、顔に視線を向けてたずねた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「やめたほうがええですか？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　少し間を置いて、坊は「ああ」とだけいった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　後始末をしたあと、坊の寝息に背を向けて、反対側のベッドでオナニーをした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊の若い肉体に触れて、期待に満ちた股間は完全に勃起していた。それを掌で握るとむなしさがこみ上げる。声をつめて自分をシコるといつもより興奮していた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　これを坊のなかにつっこみたかった。坊の穴はきっと狭くて気持ちいいに違いない。そこをぐちゅぐちゅにして、何度も犯したかった。坊を女にしてしまいたかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　気がついたら頭の中で坊を抱いていた。想像の坊は激しくしがみついて、あんあん泣いて感じまくっていた。その瞬間熱が弾けた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ううっ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　オナニーとは思えないくらい物凄い快感だった。堪えきれず声が漏れた。慌ててうしろを振りかえると、坊はすやすやと眠っていた。ほっと胸を撫でおろす。汚れを処理してから坊の眠るベッドに戻った。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　隣に潜りこみ乱れたシーツを肩までかけなおしてやった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊の身体にそっと腕を回して、ゆっくりと目蓋をとじる。頭の中で坊と二回目のセックスをしながら眠りについた。<br />
<br />
<br />
end.]]> 
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            <name>紺屋町</name>
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    <published>2011-10-14T14:17:52+09:00</published> 
    <updated>2011-10-14T14:17:52+09:00</updated> 
    <category term="しますぐ" label="しますぐ" />
    <title>柔造の思惑　金造の困惑　R18</title>
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      <![CDATA[　白いメモ用紙にかかれた住所にたどりつくと、そこは築年数ウン十年のボロいアパートだった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ここか。廉造の住んどるトコ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　デニムのポケットにメモをつっこみ、金造は目当ての部屋のまえに立った。黄ばんだチャイムを押してみると、なかからドタドタと足音が聞こえてくる。防音はないに等しいようだった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「はーい、どちらさ&hellip;&hellip;金兄！？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　この部屋の主である廉造は、扉を開けるなりビックリしたようにパチパチと何回も瞬きをした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　　　　　
<p class="chapter" id="chapter_1_0" style="font-family: メイリオ, Meiryo, sans-serif; margin-top: 10px; margin-right: 0px; margin-bottom: 10px; margin-left: 0px; padding-top: 0px; padding-right: 0px; padding-bottom: 0px; padding-left: 0px; line-height: 2; font-weight: bold; font-size: 16px; ">
	&nbsp;</p>
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
「来んねやったら、ちゃんと連絡いれてーや。ビックリするやん」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「驚かせたろ思てな～」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　明らかに不満そうな廉造を尻目に、金造は鼻歌をうたいながら通された部屋のなかをキョロキョロと見回した。玄関をあがると台所のついた六畳の洋間に、ガラス障子で隔てられて畳の部屋、さらに奥には襖で仕切られたこれまた畳の部屋が見える。古いがよく整頓されているおかげで、こざっぱりとしていた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「結構キレイにしとるやん。つーか坊は？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　もうひとりの部屋の主がいないのに気づいて、たずねた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「バイト行ってはる。てか何で急に来たん？　何かあったん？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「別に～。出張で近くまで来たしよっただけや。あ、今晩泊めてなー」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「はー！？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ヨロシク～」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「嫌や、絶対嫌や」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ええよ、ほな坊に頼むしー」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊の性格からして断るはずがないのはわかっていた。廉造は何やら警戒している顔でムスっとしていた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　そこにガチャッと背後の扉開く音がして、金造は振りかえった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　開いた扉からは、バイトを終えて帰ってきた坊がはいってくる。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ただいま。&hellip;&hellip;って、金造！？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「あ、坊お邪魔してます～」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　ご近所さんみたいに軽く片手をあげたヘラヘラ笑ってみた。けど、坊もずいぶんと驚いたみたいで狐に抓まれたような顔をしている。そこに廉造が口を開いた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「なんか急にやって来たんです。何の連絡もなく」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　かなり棘を感じたけど、無視しておいた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　説明をきいた坊は「そうか」とすぐに切り替えたみたいで、玄関をあがった。その手には買い物がえりとわかるスーパーの袋がある。飛びだしている長ネギがずいぶん所帯じみて見えた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「せっかく来たんやったらゆっくりしていき。いつまでおるんや？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「明日ですー。ホテル取ってへんし、泊めさしてもろてもええですか？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「そら全然かまへんけど、てかこっちに何しに来てん？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「一応仕事で。でもそれはもう終わってて、かわいい弟のようすでも見てこかと思うて」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　そういうと、廉造がさらにしかめっ面したので頭を叩いてやった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊は手にした袋を台所において、テキパキと冷蔵庫やら戸棚やらに置いていく。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「晩メシたいしたモンできひんけど、お好み焼きでええか&hellip;&hellip;って、志摩、お前茶ァもだしてへんのか！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「えー、こんなヤツに茶ァとかええですよ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「そんなわけにいくか！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「痛っ！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊は廉造を殴ったあと、湯呑みをだして準備をはじめた。カチャカチャとなる音を聞きながら、廉造とふたりでちゃぶ台のある奥の部屋へと移る。廉造からしぶしぶだされた座布団にすわり、ほっと一息ついたところではっと我に返った。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「おい」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「なんで坊にやらせとんねん！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ってぇ！！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　また頭を叩いて文句をいうと、打ち所がわるかったのか廉造は後頭部をかかえて畳にうずくまった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「痛ェ&hellip;&hellip;さっきから何回叩くねん。あれはえーの。だっていっつも坊がしてくれはるし」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「はあっ！？　おま、お前&hellip;&hellip;、いつも坊をこき使っとるんか！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「こき使うやなんて聞こえが悪いわー。坊が自分でやるていわはるから、お任せしとるだけで」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「アホか！　あかん！　いますぐお前が茶ァ準備しろ！　坊、そっちは廉造にやらせるんでええですよ。こっち来てください」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「えーーー！　けど俺やったことないし」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　声をかけると坊は怪訝なようすで部屋にはいってきた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「おまえら何騒いどんのや」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊、こいつを甘やかさんといてください。ほら、廉造、おまえがいれてこんかい」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「えー&hellip;&hellip;」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造はブツクサいいながら坊と入れ違いで台所へむかった。坊はあいた座布団に座りながら、何やら不思議そうだ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「どないしたんや、急に」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「廉造が何もせえへんのが気に入らんだけです」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「いや、でもアイツ何もできへんで。湯沸かすくらいしか」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊は苦笑いして説明してくれる。するとすぐに台所から声がした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊ー」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何や？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「お茶どこですかー？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「あー。お茶ないし、カルピスにだそうかとおもってん」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「わかりましたー」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　茶の在処くらい知らんのか。坊にはにこにこしながら、内心イラっとしていると、また廉造の声がする。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊ー」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何や？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「カルピスどこに置いてますー？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「冷蔵庫や」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「わかりましたー」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　十秒後。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊ー」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何や？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「カルピスと水の割合ってどのくらいですのん？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　その声に、頭のなかでぶちっと音がした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「だーーー！！　もうええ！！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　台所にのりこんで、廉造の頭を叩く。ここに来てまだ一時間もなっていないのに、何回目かわからない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ええ加減にせえ！　自分ちやろ！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　怒鳴ると廉造は情けない顔でいいわけをはじめた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「せやかて、普段はぜんぶ坊がしてくれはるし」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「お前&hellip;&hellip;、ンなんでよう一人暮らししよて思うたなあ！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「せやし坊とふたりなんやん」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊も、こいつちょっと甘やかしなんとちゃいます？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊はまた苦笑いしていた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「こいつにイチから教えるより、俺がやったほうが早いからなあ。もうええやろ。俺がやる」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊&hellip;&hellip;。すんません&hellip;&hellip;。こんなふがいない弟で&hellip;&hellip;」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　こんなことお父が知ったらドヤされるどころやないで。ギッと廉造を睨みつけて奥の和室にもどった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　しばらくして坊がカルピスを持ってきてくれたので、よばれながら三人で世間話をした。話を聞いていると、ふたりの生活はそれなりに楽しそうだった。（廉造のダメっぷりは気に入らんけど）　それに水を差しにきた自分がちょっと後ろめたい。鞄のなかにある、今回最大の目的を思い出して、ユーウツな気分になった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
「そろそろメシにしよか」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　窓の外が暗くなったところで、坊が席をたち台所にいった。廉造は当然のようにテレビを見はじめて手伝おうともしない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「おい、おまえがやれや」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造の背中を足で蹴る。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「できひんし」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何でやらへんねん」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　たずねると、廉造はうーんと考えはじめた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何でやろ。いつも坊がやってくれはるし」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　ああ、こいつを今すぐボコボコみしてしまいたい。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造はみんなが寄ってたかって可愛がったせいで、かなり甘えただ。本人もそれを分かっていてうまく立ち回るからタチが悪い。そればかりか坊をこき使っているなんて、ほんっとムカつく。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　それに、腹の立つ理由は他にもある。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;最近どーなん？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ん？　フツーやで。何で？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「お前のことはどうでもええねん。坊との話や」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「あ、あー&hellip;&hellip;。まあボチボチ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造はテレビ画面を見つめたまま、生返事だった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造から直接聞いたわけではない。実際んとこどんな関係かは知らんけど、多分坊とできとるんやろうなと感じることがある。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　むかしそれっぽいところに出くわしたことがあるのも事実だ。そのとき一緒にいた柔兄はずいぶん怒っていた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「それ聞きに来たん？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造がこちらを振り向いた。当たらずとも遠からずで、笑えなかった。微妙な空気になったところに、坊がホットプレートをもってくる。ナイスタイミングに内心感謝した。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「これセットして電気つけてくれ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　いわれた通りにコンセントをさしてホットプレートの電源をいれる。坊はお好み焼きの具材をいれたボウルを廉造に渡した。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「これ、かき混ぜ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「はーい」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　ずいぶん慣れたやりとりだ。坊が台所にもどった隙に廉造がデレっと顔をくずした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「な、坊、奥さんみたいやろ？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　この日一番の怒りが湧いた。手加減せずに思いっきり頭を殴る。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「ってー！！！　&hellip;&hellip;何すんねん！　金兄ひどい！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「お前はマジで反省せえや。このどアホがっ！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「反省て何を！！」　<br style="letter-spacing: 0px; " />
「お前らええ加減にしい！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊の声が頭から振ってきた。振りかえると、仁王立ちをしていた。その形相からものっそ怒っていることがわかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「はよ準備せぇ！　メシ食わさへんで！」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　叫んだ坊は、奥さんっていうよりお母っぽかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　メシが終わると、坊がいれてくれた風呂にはいってさっぱりした。部屋にもどると、真ん中の部屋に布団が敷かれていた。至れり尽くせりや。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊らはどこで寝はるん？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「こっち」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊が指さしたのは隣の部屋のセミダブルベッドだった。当たり前みたいに一緒に寝んねやと思うと、ちょっと引く。隠す気はないんやろーか。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　夜の十一時くらいに布団にはいった。坊と廉造もベッドにはいったらしく、襖でしきられた隣からは物音がきこえてこなくなった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　疲れていたし、すぐにうとうとなった。けれどふと隣の話し声で耳にはいってきて、目が覚めてしまう。どうやら坊と廉造が何か話しているらしかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　なんとなく聞き耳をたてて、血の気が引いた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;やめぇ&hellip;って」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　押し殺しとるみたいな苦しそうな声だった。多分、坊の声だ。ビックリして心臓がどっきーん！って鳴った。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;金造が、おる&hellip;&hellip;やぞっ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　って、マジッスか。何か衣擦れの音がしていて、ごそごそとうるさい。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;ちょっ、&hellip;&hellip;んっ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　あーーーーーー、廉造はアホか？<br style="letter-spacing: 0px; " />
　マジでアホなんか？<br style="letter-spacing: 0px; " />
　隣に兄弟いてるのに、フツーやるか？<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊も坊や、何で流されてはるん？<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　こんな防音もクソもないアパートで、しかも襖一枚で聞こえないとでも思っているのだろうか。いてもたってもいられず、頭からタオルケットを被って携帯を手にとった。電話帳から柔兄をだしてメールをうつ。柔兄は自分以外で廉造たちのことを知ってる唯一の存在だ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
『なんかアイツらヤりだしてんけど！！　助けて！！』<br style="letter-spacing: 0px; " />
　送信したら三十秒もしないうちに返信がきた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
『とめろ　今すぐ』<br style="letter-spacing: 0px; " />
『ムリ。ンな勇気ねー！！』<br style="letter-spacing: 0px; " />
『坊をホモにする気か』<br style="letter-spacing: 0px; " />
　いや、もうなってはるし&hellip;&hellip;。ツッコミは心のなかだけにして、またすぐに返信を送る。<br style="letter-spacing: 0px; " />
『せきばらいとかどやろ？』<br style="letter-spacing: 0px; " />
　こんどはしばらく返事がこなかった。数分たって携帯電話が光りだしたので、慌てて確認する。<br style="letter-spacing: 0px; " />
『生ぬるい。怒鳴りこめ今すぐ！　それがふたりのためや。お前も弟が掘られとるとこを見るんはツライかもしれへんけど、我慢せえ』<br style="letter-spacing: 0px; " />
　あれ&hellip;&hellip;？　もしかして柔兄なんか勘違いしてはる？<br style="letter-spacing: 0px; " />
　首を傾げながら、マッハの速さで返信をうった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
『や、多分やけど、掘られとるんは坊のほう&hellip;&hellip;』<br style="letter-spacing: 0px; " />
　って送ったら、それから柔兄のメールがこなくなった。どうも坊が女役ってことを本当に知らなかったらしい。教えへんほうがよかったんやろか&hellip;&hellip;、とちょっと後悔した。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　柔兄から見捨てられている間に、隣は相当盛り上がっているらしく声こそ聞こえてこないけど、ベッドがギシギシいいだした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　聞き覚えのある音に嫌でもいろいろ想像してしまう。変な気分になりそうだった。もうこれ以上は耐えられない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　涙目でカバンのなかからｉＰｏｄを取りだしてイヤフォンで耳を塞いだ。すぐに音を鳴らして外界の音を遮断する。ギシギシが聞こえなくなると、ほっとため息をついた。これで寝られる。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　そう思ったものの、微妙に興奮した頭はなかなか収まってくれず、結局朝方になるまで寝つくことができなかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　目覚めると昼に近かった。もう坊はいなくて廉造に起こされた。坊はとっくのむかしにバイトに行ったといわれて、ちょっと安心した。なんとなく顔を見るのはビミョーな気分だった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊が用意してくれた朝メシを食べた。坊の味噌汁はうまかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「目の下にクマできとるで」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造が指摘してきたけど無視した。おまえらのせーやぞって、いってやりたいのを我慢する。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「もう行くわ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　食べ終わると荷物をまとめる。カバンのチャックを開けると、なかからでてきたものに、ドキッとした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　そうだ、本当は目的があったのだ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　思い出して、渡そうかどうしようか迷った。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　いいだしたのは柔兄だ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　けど、こんなやり方、本当は反対や。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「どしたん？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　のんきな廉造が食器を片づけながらようすを伺ってきた。思い切ってカバンからとりだし、ブツを廉造に差しだした。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「何や、これ」<br style="letter-spacing: 0px; " />
「お前から渡し」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　それは、厚手の革カバーに包まれた――お見合い写真だった。坊のために女将さんが用意したものだ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造はそれとわかると、みるみる表情が変わっていた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「なんで？」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　ビミョーに声が震えていた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「女将さんから坊に渡してくれて、頼まれたモンや。お父からもくれぐれもていわれとる」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　これは柔兄がそういえ、ていうたことや。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「坊、&hellip;&hellip;ずっと断ってはったみたいやで。女将さんがため息ついてはった」<br style="letter-spacing: 0px; " />
　坊が逃げ回って女将さんが嘆いているのも本当で、だけどまだ成人もしていない坊に、そんなに本気になっているわけじゃない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　それをごり押ししたのは柔兄だった。出張のついでに手渡すように柔兄からいわれたのだ。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　廉造は俯いたまま、ピクリとも動かなくなった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
「&hellip;&hellip;おくらんでええわ。廉造、お前からいうんやで」<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
<br style="letter-spacing: 0px; " />
　駅までの道を早歩きでぬけた。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　すごく嫌な気分だった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　こんな役目、もうやりたない。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　新幹線に乗ってから携帯をみると、メールがきていた。柔兄からだった。開かずに携帯をとじる。なんとなく見たくなかった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　窓をながれていく景色はとても早かった。<br style="letter-spacing: 0px; " />
　もっと先のことやと思っていた現実が、もの凄いスピードで、もうすぐそこまで迫ってきていた。]]> 
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            <name>紺屋町</name>
        </author>
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    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://28ayrd.3rin.net/%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%90/%E5%8F%8B%E9%81%94%E4%BB%A5%E4%B8%8A%E3%80%81%E6%81%8B%E4%BA%BA%E6%9C%AA%E6%BA%80%E3%80%80%E5%BE%8C%E7%B7%A8%E3%80%80r18" />
    <published>2011-06-14T11:48:56+09:00</published> 
    <updated>2011-06-14T11:48:56+09:00</updated> 
    <category term="しますぐ" label="しますぐ" />
    <title>友達以上、恋人未満　後編　R18</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[三　志摩<br />
<br />
坊とふたりきりで&ldquo;デート&rdquo;ができるなんて、なんてええ日なんやろう――、そう思っていたのはほんの数分前のことで、志摩は逃げだしたい気持ちでいっぱいだった。<br />
逃げだせないのならせめて、ひたすらあさっての方向をむいて勝呂と目をあわせないようにするしかない。<br />
針のムシロにいる思いで、志摩は手にしたハンバーガーを頬張った。<br />
<br />
<br />
ことの起こりはおよそ一時間前にさかのぼる。<br />
<br />
夏休み序盤、クーラーで冷えた部屋のベッドで、志摩は買ったばかりの雑誌をひろげだらけた休暇を楽しんでいた。<br />
『――　今年度最高のヒット！　これを見逃したら、あなたの夏は終わらない　――』<br />
そこへ、お決まりのフレーズがそえられた映画記事が飛びこんでくる。それはコメディタッチのハリウッド・アクション・ムービーで、ほんの少しロマンスもスパイスとしてそえられているというものだった。それだけで志摩の興味を引くには充分だ。<br />
<br />
「坊、映画みにきません？」<br />
一時間ほどのジョギングからかえってきたばかりの勝呂に、じゃーんと雑誌をみせつけた。ここのところ気が塞ぐことがつづいていた。映画で気分転換でもできればいい。<br />
勝呂は真夏の炎天下でしっかりとかいた汗を、あらいたての白いタオルでぬぐっている。<br />
「どんなん？」<br />
「えーっとですね&hellip;&hellip;」<br />
汗にまみれた肌がやけにみずみずしく映って、少しどきどきする。それをごまかそうとできるだけ明るい声で勝呂に映画の説明をした。<br />
「アクションやったらみてもええで」<br />
勝呂はひとしきり説明をきいたあと承諾してくれた。<br />
「ほなこれからどうですか？」<br />
「ええよ、塾もないしな。そのまえに、シャワー浴びてきてもええか。汗で身体がべたべたや」<br />
「わかりました。ほな三十分後でええですか？　俺は子猫さんにもきいてみます」<br />
着替えとタオルをもって勝呂が部屋をでていくと、子猫丸にメールを送った。<br />
<br />
三十分後、着替えをすませて寮の一階ロビーのソファでひとり携帯電話をながめていると、よごれを落としこざっぱりとしたすがたで勝呂があらわれた。<br />
ソファの背もたれに身体をあずけたまま、首だけをふり向きローアングルからあおる。<br />
足元は今春発売の少し使いこんだＮＩＫＥ、デニムは勝呂が京都で気にいって通っていたセレクトショップのオリジナル加工をほどこした一点もの、ベルトはポールスミス、鞄は何年も愛用しているノーブランドのものである。<br />
（坊て、ほんま&hellip;&hellip;ボンボンやんなあ）<br />
勝呂には、いかにも&ldquo;間違いのないもの&rdquo;をみて育ってきました的なオーラが漂っている。私服をきるととくにそれが顕著だ。兄のおさがりが大半の自分とは違う。<br />
「子猫丸は？」<br />
「アクションはやっぱりあかんみたいです」<br />
首をふってこたえ、腕時計をみやった。時刻は十一時半で、映画の開始は午後二時ちょうどだ。勝呂とすごせる時間はたっぷりある。<br />
「映画のまえに飯食いません？　坊、走ったから腹減っとるんやないですか」<br />
勝呂が頷いたので、ひとまず寮からいちばん近くのファーストフードへとむかった。<br />
<br />
<br />
<br />
まだお昼まえということもあって、店内はあまり混雑していなかった。<br />
勝呂に座席を確保してもらい、志摩が二人分のセットを注文する。両手にトレイをもって席にむかうと、隣のテーブルには可愛い系の女子がふたり雑誌をみながら楽しそうにおしゃべりに花を咲かせていた。<br />
「あ、ええですね～。女の子って感じですやん」<br />
頬が緩むのをおさえきれず小声でささやくと、勝呂は呆れたように深いため息をついてハンバーガーにかぶりついた――と、ここまでは通常運転だ。問題はこのあとに発生する。<br />
<br />
いったいどんな話をするのだろうかと、わくわくした気持ちできき耳をたてる。<br />
ふたりの話題の中心は、どうやらファッション誌のなかで組まれている特集記事のようだ。<br />
それは高校生を主軸にしたティーン向けで、意中のカレに告白する方法だとか、はじめてのデートに手をつなぐタイミング、さらにはもっとそのさきに進んだときのことまで具体的にかかれているらしい。会話の内容が想像以上になまなましくて、驚きを隠せない。<br />
「最近の女子の雑誌って何やすごいんやなあ」<br />
「おまえ&hellip;&hellip;、行儀が悪いぞ」<br />
勝呂は注意をしてくるが、少しくらい息を抜いたっていいではないかと反論する。<br />
本当はこのままずっとリアル女子高生の会話を盗みぎきしたいけれど、ここで時間を費やすと本来の目的である映画の上映に間にあわなくなる。なくなく聴覚を遮断するとトレイの上のハンバーガーを手にとった。<br />
包み紙をあけ、大きくと口をひらいてさあかぶりつこうとしたそのとき、とつぜん隣から『ファーストキス』という単語が耳に飛びこんでくる。<br />
頭のてっぺんから一気に血がさがっていく。あんぐり口をひらいたまま、目のまえのバーガーにかじりつけない。怖くてうごけなかった。<br />
<br />
キス、それも『ファーストキス』は、勝呂のまえでは、もっともいってはいけない最大のＮＧワードだ。<br />
酔っぱらったいきおいで勝呂の寝込みを襲い、そのまま強引に初めてのキスをいただいてしまった。<br />
いや、いただいてしまったらしい&hellip;&hellip;というほうが正しい。なぜなら、志摩にはその記憶がまったく残っていないからだ。<br />
<br />
なくしていたあいだの記憶が発覚したあと、勝呂の機嫌は最悪に方向にふりきれて、志摩はただひたすら土下座をしてやっとの思いで許してもらった。ほんの数日前のできごとだ。<br />
機嫌をなおしてもらい、ようやく関係を修復できたというのに、この瞬間あの努力が水泡に帰している。<br />
女子たちの会話はさらに盛りあがりをみせ、きゃっきゃうふふな状態になっている。<br />
（やめて～、今その話題やめて～～～！）<br />
こころのなかでボリュームを最大にして叫んでも相手に届くはずもない。いやそれよりも、目のまえの勝呂が怖すぎて、顔をみることができない。<br />
勝呂にはきこえたのだろうか。もしかしたら耳に届いてないという可能性も&hellip;&hellip;、いやあるわけがない。かなり大きな声だったのだ。かすかな希望の光を自分でうち消す。<br />
とにかくこの場から逃げだすことだ。そう思うと、すっかり味のわからなくなったハンバーガーを無理やり飲みこんだ。<br />
<br />
<br />
<br />
悪いことは続く――なんて、だれがいいはじめたのかは知らない。けれど、最初に気がついた人物でも、いまこの状況よりはきっとマシだったのではないか。<br />
そんなことを思いながら、志摩は壁一面のスクリーンでくりひろげられるアメリカンなディープキスをみつめて涙目になった。<br />
<br />
ファーストフードで思わぬ攻撃をうけ、逃げだすように映画館へやってきた。チケットを発券するときもパンフレットを買うときも、怖くて勝呂の目をみていない。<br />
夏休みでも平日のせいか観客はまばらで、一番うしろの席に並んですわってからもずっと無言だった。だから、勝呂が何を思いながらこの濃厚なキスシーンをみているのか、まったく想像もつかない。<br />
<br />
未成年なのに酔っ払い、その挙句キスを&hellip;&hellip;それも大事なファーストキスを奪ったのは、いい訳のしようもない。しかしその反面、口惜しいというきもちがみえ隠れしていた。<br />
（せっかく坊とチューできたってのに覚えてへんなんて、怒られ損やん）<br />
唇の感触や表情、どんな声をだして、どんな口づけを交わしたのか。勝呂の&ldquo;初めて&rdquo;を、余すところなく覚えておきたかった。<br />
頭をさげる裏側で、こんなことを思っているとバレたら今度こそ殺されるかもしれない。もしもを想像して背筋がぶるりと震えた。<br />
<br />
映像のなかでは、金髪の男女ふたりが盛りあがり、情熱的な抱擁に突入していた。メインはアクションでロマンスは添え物と認識していたけど、どうやらお色気もしっかり組みこまれていたようだ。<br />
志摩家は男兄弟が多いせいで、日常のなかに自然とエロ話があがる。家族の団らん中に、テレビからセクシャルなシーンが流れてもみんな笑いにかえて楽しんでいる。<br />
では勝呂の家はどうなのだろう。<br />
（坊はなんやかんやで純粋に育てられとるし、こんなとこ流れでもしたらテレビのチャンネル変えられてそうやなあ）<br />
想像をしたらおかしくて笑ってしまいそうだった。<br />
（坊、どんな顔してはるんやろ）<br />
興味が湧いてきた。<br />
先ほどの一件での恐怖心よりも、勝呂への好奇心が勝つ。少しくらいならみてもバレないだろう。わずかに顔を動かして、おそるおそる視線を隣のシートにむけた。<br />
すると、パッと勝呂が目をそらす。<br />
（え？）<br />
照明は落とされているがスクリーンの光で周囲ははっきりと認識できる。見間違いなんかじゃない。たしかに、一瞬目があった。<br />
（なんで？）<br />
疑問といっしょに、下半身からことばにできない熱いものが一気にたち昇ってくる。わけのわからない熱で頭がくらくらした。<br />
「坊」<br />
シートから身を乗りだし、衝動にまかせて勝呂の手をつかんだ。<br />
勝呂は目にみえてビクッと反応する。怯えているようすだがふり払われなかった。けれどこちらを向いてくれず、視線はスクリーンのままだ。<br />
「坊」<br />
もう一度よぶと、勝呂の瞳が小刻みに揺れはじめ、睫毛が震えた。志摩はそれを見逃さなかった。<br />
勝呂の正面にのりだして、強引に唇を押しつける。<br />
「――っ！」<br />
にぎりしめた勝呂の指が一瞬で硬直した。<br />
唇はまるで天の岩戸のようにかたく閉じられていて、それを濡れた舌でなんども舐め、緩く吸いあげる。しつこく繰り返すと、頑なだった唇にかすかな隙間が生まれた。勝呂のタガが外れたのだ。<br />
舌をいれて迫る。勝呂の舌は往生際が悪く、口のなかでも逃げまわった。<br />
それを追いつめて絡めとり強く吸いあげ、咥内の粘膜を舐め、上顎をぬるぬると擦ってやると<br />
「んっ、んっ」<br />
と、塞いだ唇から甘い吐息が零れ落ちた。<br />
全身の血が股間に集まる。こんなの経験したことない。気持ちよすぎてちんこが破裂しそうだった。<br />
敏感な反応をみせた上あごをもっとしつこく舐めると、勝呂は耐えきれなくなったのか逃げるようにシートからずり落ちてしまった。<br />
「ぼ、坊」<br />
焦って身体を支えてやると、勝呂は自分で座りなおす。<br />
「大丈夫ですか？」<br />
心配してたずねると、うるんだ双眸をむけられる。<br />
「坊？」<br />
勝呂は返事がない。<br />
許可なくキスしたことを怒ることもなく、むしろとろんとした艶っぽいまなざしに、胸が高鳴り淡い期待がよぎる。<br />
（もっとしてもええん？）<br />
無言のうちに問いかける。もちろん、こたえはない。<br />
けれど、色づいた勝呂の視線が何もかもゆるしてくれそうで、もういちどゆっくり唇をちかづけたそのとき――<br />
パッと場内に明かりがもどった。<br />
それと同じくして、観客たちがざわざわと動きはじめる。いつの間にか映画がおわっていたのだ。<br />
我にかえって間近の勝呂をみなおすと、みるみるうちにこめかみに青筋が浮かびあがる。<br />
「&hellip;&hellip;手ぇ、離せや」<br />
素直に口づけをうけいれ甘えた目になったことなどまるでなかったかのように、そら恐ろしい目つきが復活する。<br />
（こんどこそほんまに殺されるかもしれへん&hellip;&hellip;）<br />
こころのなかでひたすら経を唱えながら、志摩はまたしても逃げだしたくなった。<br />
<br />
<br />
四　勝呂<br />
<br />
読みかけの雑誌、脱ぎ散らかした衣類、食べかけの菓子袋&hellip;&hellip;これらはすべて、志摩のベッド上にあるものだ。<br />
せっかく休みのたびに部屋をきれいにしたところで、ごく一部（主に志摩のテリトリー）のひどい有様に苛々させられる。<br />
同じ屋根の下にくらすようになって数ヶ月、この散らかりようは勝呂の頭痛の種になっていた。<br />
<br />
「こんなとこで寝るなんざ、あいつの神経どうなっとるんや。ほんま信じられへんわ」<br />
いくら幼馴染とはいえ互いのテリトリーをおかすのはよくないと思ってこれまで何もいわずにおいた。しかし、布団のなかから陰毛つきの使用済みティッシュを発見した瞬間、とうとう堪忍袋の緒がきれた。<br />
志摩と子猫丸がそれぞれ外出している隙に、志摩のベッドの掃除にとりかかる。<br />
ゴミと衣類をわけ、布団下からでてきた大量のエロ本とＤＶＤを勉強机のうえに並べる。本当は捨ててやりたいが、借りものの可能性もあるので我慢した。<br />
シーツも剥ぎとり布団をベランダに干す。中天にかかる夏の太陽が、志摩菌を消毒してくれるだろう。<br />
<br />
一時間ほどで布団をとりこみベッドにもどして、清潔なシーツをふわりとかぶせた。<br />
ふかふかになった布団は、勝呂を清々しいきもちにさせてくれる。<br />
しあがったベッドに腰かけて布団に顔をうずめてみた。太陽のにおいとぬくもりがここちいい。鼻を擦りつけると、ほのかに志摩のにおいがして身体が熱くなった。<br />
脳裏に浮かんだ志摩の顔を打ち消すように、頭から布団をかぶる。<br />
ふとした瞬間、志摩のことを考えてしまう自分が嫌だ。きつく目をとじると、ぶつぶつと覚えたての経典を諳んじた。<br />
<br />
<br />
<br />
「坊、坊」<br />
名前をよばれて、ハッと目をあけた。<br />
起きあがると目のまえに子猫丸がいる。部屋はわずかに薄暗くなっている。どのくらいの時間かわからないけれど、眠っていたらしい。頭はずいぶんスッキリとしていた。<br />
「お疲れやったんですか？　寝るんやったら志摩さんのとこで寝んと、自分のベッドに行かはったらええのに」<br />
あのまま志摩のベッドで眠っていたのか。指摘されて恥ずかしくなった。<br />
「いや、なんかまどろんでもーたわ。もう起きるし」<br />
顔をみられたくなくて、目を擦りながら俯いてこたえる。<br />
<br />
「子猫さん、そろそろ笑点がはじまるんやないですか？　そのために、はよ帰ってきはったんでしょ」<br />
「ほんまや。僕、ちょっといってきます」<br />
子猫丸はそういうとさっさと部屋を出ていった。<br />
帰っていたのは子猫丸だけだと思っていたのに、視界に入らなかっただけで、志摩も帰宅していたのだ。<br />
<br />
いたたまれなさすぎてて言葉がでない。ぶわっと汗がふきでる。<br />
ふたりきりになった途端、志摩はこちらをふりむいて隣にやってきた。その動きを目で追う。<br />
「坊、いろいろ破壊力すごいねんけど。俺どうしたらええん？　誘っとるんですか？　つーかわざとですよね？」<br />
「ンなワケあるか&hellip;&hellip;っ」<br />
いい返しかけたところを、唇で塞がれる。<br />
<br />
――映画を観にいって以来、ときどき志摩とキスをするようになっていた。<br />
<br />
かといって、こんな状況でするのはくやしい。<br />
志摩の濡れた舌に舐められても、ガンとしてて唇を開かなかった。すると大きな掌が頬から耳朶に触れてくる。そこはいやだ、やめろ。思っても、唇をとじているのでことばにできない。<br />
むしろ、こころと反比例して背中がぞくぞくする。うなじを撫でられ肩を抱き締められると、重い身体がのしかかってきて、背中からふかふかの布団に倒れこんだ。<br />
覆い被さられてなんども唇を吸われると、気持ちよくてゆっくり思考が停止していく。舐られて過敏になった唇を舌先に抉じ開けられるころには、頭がぼーっと して抵抗できなかった。舌を絡めたり吸われたり、口のなかをかきまわされたり、上顎のあたりをいじられると、たまらなくなって志摩のシャツを握りしめた。<br />
「んっ、んっ」<br />
股間に熱が集中していくのを止められない。<br />
<br />
キスはするようになったけれど、逆に性欲を処理しあうことをしなくなった。<br />
気持ち悪いとさんざんいったせいかどうかは不明だが、志摩は絶対に触ってこない。<br />
<br />
直接刺激したわけでもないのに勃起していることは、おそらく志摩だって気づいているはずだ。<br />
ときどき互いの股間が擦れあって、布越しでもそれが気持ちいい。<br />
<br />
じれったい。<br />
もどかしい。<br />
<br />
昂りが出口をもとめて身体中を暴れまわる。<br />
<br />
興奮しきったところで、志摩の唇がゆっくり離れていく。熱い吐息が頬にあたった。<br />
志摩の両腕に顔をはさまれて、じっとみつめられた。その表情は何だか辛そうだ。<br />
「坊&hellip;&hellip;、自分がどんな顔してはるかわかっとる？」<br />
こたえないでいると、股間をぐぐっと押しつけられた。<br />
「あっ&hellip;&hellip;！」<br />
強烈な快感が身体を駆け抜ける。<br />
それを皮切りに、股間だけをなんども擦りあわされる。気持ちよすぎて声を我慢できない。<br />
「んっ、あっ、あっ」<br />
「坊、声あかんて」<br />
掌で口を塞がれた。<br />
耳朶を舐られ、耳元で「坊、坊」とよぶ志摩の声が鼓膜にひびく。<br />
（イクっ、イクっ、駄目や――！）<br />
意識が焼き切れそうになって、下着のなかで熱が弾けた。<br />
ビクビクっと痙攣したせいで、達したことが志摩にもつたわったようだ。押さえられた口を解放される。<br />
はあはあ、となんども息を吐きだして呼吸をととのえる。早くしないと子猫丸がもどってきてしまう。<br />
「ちょ、どけ。着替える」<br />
「すんません。&hellip;&hellip;ちょっとトイレいってきます」<br />
「お、おう」<br />
志摩がよろよろと部屋を出ていくのをみおくってから着替えた。<br />
<br />
部屋の換気をして、この火照った身体を沈めて&hellip;&hellip;。夕食には三人顔を突きあわせることになるのだ。<br />
キスをすることも、快感に流されてしまったことも、志摩のきもちを知った上で行っている行為の矛盾も、何もかもいずれは考えなくてはいけないことだ。<br />
<br />
だけど、今はいい。<br />
今はただ、夕食に平静をたもてれば、それでいい。<br />
<br />
<br />
終]]> 
    </content>
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            <name>紺屋町</name>
        </author>
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    <published>2011-06-14T11:47:57+09:00</published> 
    <updated>2011-06-14T11:47:57+09:00</updated> 
    <category term="しますぐ" label="しますぐ" />
    <title>友達以上、恋人未満　前編</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[一　勝呂<br />
<br />
勝呂は本気で腹をたてていた。深夜の一時をまわっても、寮に志摩がかえってこないのだ。<br />
「あいつは何しとんねん！　補導でもされたらどないするんや」<br />
「まあまあ坊、志摩さんも初めての合コンで、テンションが上がっとるんやないですかね」<br />
子猫丸になだめられても、一度湧きあがった怒りの感情はしずまらない。手にした携帯電話をきつく握りしめ、志摩のベッドに思い切り投げつけた。<br />
<br />
志摩が合コンにいくといいだしたのは週の半ばのことだ。クラスメートに誘われたとかで、ずいぶんとうかれていた。<br />
そりゃ、祓魔塾のない日ではあるし、何をしようが個人の自由だ。しかし、確固たる目標を持って上京してきているのに、門限まで破って女にうつつを抜かしていることがムカつく。<br />
かえってきたら説教してやろう、そしてあの腐った根性をたたき直してやる。<br />
――そんなことを考えながら、勝呂はベッドにはいり瞼をとじた。<br />
<br />
<br />
<br />
がっ！<br />
<br />
急に重い何かが背中にぶつかった。その衝撃で、落ちていた意識が一気に現実へ引きずりもどされる。<br />
背後に不気味な違和感。いったい何が起こったのか。<br />
瞬きしてみるが暗闇で状況がわからない。顔をうごかすと、うつぶせになっていた頬にやわらかいシーツの感触があたる。それでようやく、寝ていたんだ、と思いだすことができた。<br />
（もしかして悪魔！？）<br />
最悪の可能性が脳裏をかすめ、恐怖で鳥肌がたった。<br />
とにかく何とかしなければいけない。おそるおそる振りかえると、いやなアルコール臭が顔面に直撃した。<br />
<br />
「へへ～坊、ただいまです～」<br />
「おまっ、志摩か！？」<br />
違和感の正体は、寝る前に苛々させられた張本人だった。<br />
「そうですよ～、なんで先に寝てはるんですか～、ひどいわ～」<br />
「何時や思てんねん！　つーか、おまえ酔っぱらってへんか？　いや酔っぱらっとるやろ！」<br />
「えー、酔ってませんよ。ちょっと水たくさん飲んでしもーただけで&hellip;&hellip;ひっく」<br />
完全に酔っ払いである。午前様どころか、未成年の飲酒なんてありえなさすぎる。呆気にとられていると、甘えた声で顔がすり寄ってきた。<br />
「坊、坊、なあなあ」<br />
「何や」<br />
「俺のこと、好きですか？」<br />
「はぁ！？」<br />
幼いころから周囲には大人が大勢いた。だから、酔っ払いのあしらいには慣れているほうだが、こんな絡まれ方は初めてだ。質問にはこたえず、うんざりして酒臭い志摩の顔を掌で引き剥がす。すると思わぬ抵抗にあった。<br />
「ん～、邪魔ですて。なあなあ、答えてくださいよ。俺のこと好きですか？」<br />
意外に力強く手首をつかまれ、逆にシーツに押しつけられる。そのまま身体が反転しあお向けになると、志摩が乗りあげてくる。かなり重い。<br />
（こいつ結構ウザい）<br />
そう思う反面、酔っ払って甘える志摩のすがたなんて、滅多にみられるものじゃない。物珍しさに、本気で抵抗する気が失せる。<br />
それにしても、大きな声をだしているはずなのに、同じ部屋で寝ている子猫丸はまったく起きる気配がない。<br />
（あいつは細かそうにみえるけど、意外と神経がずぶといんやな）<br />
それぞれの初めて知る一面に感慨深くなる。<br />
真上の志摩の顔を見あげると、ムスッと不機嫌になっていた。<br />
「なあ、きいてます？　俺のこと好きならチューしてくださいよ」<br />
さすがにこのノリについていけない。気持ちの悪い発言に、嫌悪感がたった。<br />
（こいつ、合コンでもこんな調子で女子に絡んだりしとらんやろなあ？）<br />
そんな不安をよそに、志摩は泣きだしそうな顔になった。くるくる表情が変わって忙しい奴だ。<br />
「&hellip;&hellip;してくれへんのですか？　何で？　俺のこと嫌いなん？」<br />
「いや、嫌いちゃうけど、おまえ男やししたない」<br />
下半身の処理をしあうのは百歩譲っていいとして、さすがにキスは勘弁してほしかった。<br />
「坊&hellip;&hellip;、ひどいわ&hellip;&hellip;。俺がこんなに坊のこと好きやのに」<br />
「あーそうかそうか。そりゃどーも。もうええから、おまえ寝ろや。明日も塾はあんねんで」<br />
「俺の気持ち無視！？」<br />
「はいはい、わかったわかった。ええ子やからベッドいって寝え」<br />
「わかってへん。ほんまに俺は坊が好きなんです」<br />
酔っ払いの戯れ言にしては、少し真剣な気がするが気のせいだろうか。勝呂は志摩のことばに耳をかたむける。<br />
「好きやなかったら、だれが男のちんこなんてシコりたい思います？　坊やから触りたいしチューしたいしエッチしたいって思ってるんやないですかー。それやのに、ほんまひどい～」<br />
&hellip;&hellip;ものすごい暴露をされてしまった気がする。<br />
驚きで身体の力がぬけていく。<br />
これはどこから拾っていけばいいのだろうか。わからない。理解しきれない脳がぐわんぐわんして、胸がものすごい勢いで鳴りはじめる。<br />
（志摩が俺を好き？）<br />
頭のなかで復唱すると、頬が熱くなった。<br />
（いやいや、ないないない）<br />
慌てて否定する。そうしないと、気持ちをしずめられない。<br />
人生初の告白が男からで、とういか志摩からで、何かもういろいろ本当にありえなさすぎる。<br />
そんな悩みをよそに、志摩の甘えはつづく。<br />
「せやから、坊、べろだしてください。えーってべろだして。吸いたい」<br />
そのことばに、ハッと我にかえった。何だか嫌な予感がする。<br />
「落ちつけて。それはあかんやろ。冷静になれ」<br />
志摩の本音をしったいま、この態勢は非常にきけんなのではないか。すぐにでも逃れたいけれど、騒いで子猫丸を起こしたくはない。小声で志摩をなだめながら、掴まれた手をはらうと身をよじってうつぶせになった。這いでようと腕の力でだけで前進する。<br />
「坊、何で逃げるんですか。チューがいやなん？　好きやのに、ほんまに好きなんです。好き好き好き」<br />
首のうしろでささやかれると、悪寒とは違う感覚で肌がぞくぞくと粟立つ。逃がさないとばかりに肩をおさえこまれ、耳たぶのうしろを舐められる。頬だけじゃなくて身体まで熱くなりそうだった。<br />
「ちょっ、やめ&hellip;&hellip;えって」<br />
抵抗してもそのいきおいはとまらず、うなじやら背中に何度も口づけられる。太ももには硬いものが擦りつけられ、それが勃起した志摩のナニだということがわかった。酒のせいですっかり理性をなくし、完全に盛りのついた猿である。<br />
「坊、坊、坊」<br />
猫撫で声で名をよばれる。<br />
顎を掴まれ強い力でふり向かされると、眼前にスローモーションのようにゆっくりと顔が近づいてきた。<br />
（あかん、限界や！）<br />
むにゅうと、感じたことのない柔らかいものが、口に押しつけられた。それが唇だとわかるなり、ビリリっと全身に熱い電流がはしる。　<br />
<br />
「子猫丸！」<br />
<br />
すぐに顔を背け、腹の底から叫んだ。<br />
<br />
「起きい！　子猫丸！」<br />
<br />
起きてはやくこの窮地から救うてくれ。<br />
必死に名前をよぶと、暗闇だった部屋の蛍光灯がパッとまぶしくひかった。子猫丸が起きたのだ。<br />
「おふたりとも、何してはるんですか？」<br />
「何やあらへん！　この酔っ払い、なんとかしてくれ！」<br />
まぶしさに慣れなくて、半目のまま子猫丸に助けをもとめる。<br />
「坊、なー坊、チューして」<br />
志摩はアホみたいにキスをせがんできた。<br />
「志摩さん何してはるんですか。坊、困ってはりますやん。う&hellip;&hellip;、酒くさ」<br />
子猫丸が顔をしかめながらも、志摩をおさえこんでくれたおかげで、ようやくベッドから抜けだすことができた。<br />
動きをとめられた志摩は、そのまま寝入ってしまった。ほっと胸をなでおろす。一時はどうなることかと思った。<br />
動揺が落ちつくと、すっかりベッドを占領した志摩を睨みつけた。<br />
「こいつ酒グセ最悪やぞ」<br />
「これがいわゆる&ldquo;キス魔&rdquo;ってやつなんですかねえ？」<br />
子猫丸は眼鏡をかけながら、不思議なものでもみるように、しげしげと志摩を眺めた。<br />
「おまえ冷静やな。つーか、キス魔ってなんやねん」<br />
「お酒を飲むとキスをしまくる人のことです。女性に多いみたいですよ」<br />
こいつはそんな豆知識をどこで仕入れてくるのだろう。<br />
疑問が顔にでたのか、子猫丸は話をつづけた。<br />
「ネットに載ってたんです。志摩さんがこのパターンやなんて、何やすごく意外です」<br />
「そうか、そんなんもあるんか」<br />
<br />
それならば、好き好き告白しまくる酒グセなんてのもあるのか？<br />
首をかしげながら、志摩の発言を思いかえすと、まだ新鮮な記憶に自然とほっぺたが熱くなる。<br />
（だいたい&hellip;&hellip;男同士でエッチって何すんねや）<br />
これまで単なる性欲処理として触れあってきた。でもそれは、志摩にとって別の意味をもっていた。ならどうして、最初にだれしもがやっていることだから、なんていったのか。&hellip;&hellip;わからない。もし、先ほどの発言がすべて本当だったとしたら、いったいどうしたらいいのか。志摩に恋愛感情なんてもっていないというのに。<br />
<br />
いびきをかいて、気持ちよさそうに眠っている志摩の寝顔をみつめると、怒る気にはなれなかった。<br />
とんでもないことをたくさんいわれたけれど、朝になってどこまで覚えているのやら。<br />
考えてもしかたがない。<br />
<br />
眠そうに瞼をこする子猫丸に、そろそろ寝ようとつげた。<br />
「起こして悪かったな」<br />
ひとこと沿えてから部屋の電気を消して、志摩のベッドにむかうと、暗闇のなかで子猫丸がつぶやいた。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;もしかして、坊はキスされてしもたんですか？」<br />
<br />
やっぱり、朝になったら志摩を思う存分ボッコボコにしよう。<br />
己の名誉のためにも――。<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
<br />
二　志摩<br />
<br />
まぶしくて目をあけた。なんどか瞬きをして、のっそり起きあがる。ここちよい眠りを妨げた光の正体は、カーテンの隙間から射しこむ太陽だとわかった。<br />
部屋の壁時計をみると、十一時をまわっている。<br />
たしか、午後から塾があったはずだ。そろそろ起きて準備をはじめなくてはいけない。<br />
ベッドから降りようとしたとき、頭にナイフをつきたてられたような痛みが走った。<br />
「ってぇ&hellip;&hellip;」<br />
ひどい頭痛だ。<br />
「なんでこんなに痛いねん」<br />
合コンにいって、二次会のカラオケで大さわぎしたことは、おぼろげだが記憶にある。<br />
だけど、そのあとどうやってかえってきたのだろうか。前日のことなのにはっきりしない。<br />
覚醒しきらない頭で必死にかんがえていると、さわやかな風とともに部屋の扉がひらいた。<br />
<br />
「あ、起きはったんですね」<br />
「あ～、子猫さん。おはよーさん」<br />
「体調はどうですか？　かなり酔っぱらってはりましたよ。坊と二人で寝かしつけるのが大変で」<br />
「そういえば、坊は？」<br />
たずねると、子猫丸の表情がかたまった。<br />
「&hellip;&hellip;その、塾にいく前に、図書館で勉強していくていうてはりました」<br />
「？　そーなん。ほな俺も飯食って準備しよか。シャワー浴びたいわ」<br />
おおきく背伸びをして立ちあがる。箪笥から着替えをとりだして、部屋をでようとしたところ、子猫丸によびとめられた。<br />
「あの&hellip;&hellip;、坊のことなんですけど」<br />
おもむろに話しはじめるのでふりかえると、子猫丸は俯いて指をいじいじしていて、いつもと様子がちがう。<br />
志摩は首をかしげた。<br />
「どうしはったんですか？　坊がどないしたん」<br />
「志摩さんは、坊に謝ったほうがええと思います！」<br />
「へ？」<br />
「僕からいえるんはこれだけです！　ほな先にいかせてもらいますんで、志摩さんも塾に遅れんときてください！」<br />
それだけをいい捨て、子猫丸は部屋をでていった。<br />
「はぁ～？？？」<br />
いいっぱなしにされて、さっぱり訳がわからない。頭にクエスチョンマークを浮かんだが、深く考えず身支度にとりかかった。<br />
<br />
<br />
<br />
祓魔塾での授業がおわり、急いで鞄に荷物を詰める。一刻もはやくこの場から逃げないと、背筋が凍って死んでしまいそうだった。<br />
勝呂の様子がおかしいのだ。ちなみに塾にきてから子猫丸の様子もおかしい。お気楽に話しかけてみても、なぜか寒々しい空気しかながれない。<br />
（ゆうべ何があったんや。子猫さんは坊に謝れいうてたし、これはどうも、俺が坊に何かしでかしたんやな）<br />
こうなったらいわれたとおり勝呂に謝ってしまうのが一番いいだろう。そうすればきっと、元にもどれるに違いない。<br />
<br />
部屋にもどると、子猫丸は経過治療のため病院にいってしまった。<br />
（子猫さん&hellip;&hellip;、裏切らはったな）<br />
子猫丸がこの重い空気から逃げだしたのは明らかで、こころのなかで恨み節が流れだす。<br />
だが、これは腹を割って話す最大のチャンスでもある。ポジティブな思考に改めると、帰宅そうそう勉強机にむかう勝呂の隣にたった。<br />
「回りくどいんは苦手やし、ストレートにききます。俺、坊に何かしてしもうたんですか？　昨日は途中から記憶なくしてしもて&hellip;&hellip;、寮までどうやってかえってきたんかも、さっぱりなんですわ」<br />
「別に。何もない」<br />
ふり向きもしないで即答された。声に愛想がない。<br />
「ほな、何でそんなに怒ってはるんです？　態度がおかしいですやん。&hellip;&hellip;子猫さんは、俺が坊に謝るべきやていうてはりました」<br />
こんどは無言だった。それがすべてを物語っている。<br />
貝のように口をとざした勝呂は強情だ。これ以上詰めても、きっと何も教えてはもらえない。<br />
（かなりキレてはるやん。どないしよ&hellip;&hellip;）<br />
道がみえずうなだれる。ふと、なにげなく勝呂の横顔をみつめると、耳朶が真っ赤になっていた。よくみると頬にも朱がさしている。<br />
（え？　どゆこと？）<br />
赤面する理由がわからない。わからないが、でもこれは解決の糸口のような気がする。<br />
志摩は頭をひねった。<br />
酔ったときには本音がでるという。では、自分の本音は何なのか。<br />
思考の九割はエロいことだし、それも最近の対象はもっぱら勝呂になっている。<br />
触りっこだけじゃなくて、その先のことをしてみたいという願望を、ずっと隠しもっていた。<br />
まさか、それをやらかしてしまったのだろうか。急に不安がつのる。<br />
思わず勝呂の肩をつかんで叫んだ。<br />
「もしかして坊をレイプしてしもーたんですか！？」<br />
（しもたー！）<br />
と、思ってももう遅くて、勝呂の眼光がみるみるうちに鋭くなっていく。<br />
「いねや&hellip;&hellip;、このクソ虫が！」<br />
大嫌いな虫よばわりされてぞっとしたが、自業自得だから反論もできない。<br />
「じゃあ、寝込み襲うたとか！？」<br />
「いねいうとろーが！　この手を離せ！」<br />
肩からふり払われると大人しく手を引いた。<br />
「だいたい、レイプも寝込み襲うんもほっとんど一緒やろ。アホか」<br />
「じゃあ、いったい何なんですか。いねやいわれても、このままずっとおる気ですか？」<br />
「人が怒っとるときに、火に油注ぐような真似して。とっとと消えろ」<br />
「あー、坊やっぱり怒ったはるやん。&hellip;&hellip;何かしてしもうたんやったら、ほんまにちゃんと謝りたいんです。だから怒らんと俺とはなしおうてください」<br />
必死ですがると、鬼の形相がすこし和らいだ。逡巡するような表情のあと、やっと重たい口がひらかれる。<br />
「ゆうべは&hellip;&hellip;酔っぱろうてかえってきて、&hellip;&hellip;俺のベッドを占領しよった」<br />
「はい」<br />
「&hellip;&hellip;それだけや」<br />
「はあ？　そんな訳ないでしょ。そんなんで怒ったらただのアホですやん」<br />
「何か文句あんのか」<br />
凄まれると口ごもるしかない。<br />
真実はそれだけではないだろうと思いながらも、頭をさげて詫びをいれる。<br />
「いえ、坊がそういわはるんやったら&hellip;&hellip;。ベッドをとってしもて、ほんますんませんでした」<br />
「もうええ。この話は終いや」<br />
頭上からふってくる声に顔をあげ、表情をじっくりみつめると、すぐに目をそらされた。<br />
（やっぱり嘘をついたはる。坊は真面目やから、嘘をつくとき相手の目をみれへん）<br />
かといって、これ以上勝呂の引きだしを強引に開けようとするのは難しいだろう。<br />
志摩はまたしても頭をひねった。<br />
そして、引きだしを開けさせる方法を一つ思いつくと、にこっと笑顔をつくって一歩近づく。もろに見下ろせる位置だ。<br />
「許してもろてありがとうございます。ところで、今後のためにも、酒飲んだとき自分がどうなっとったんか知りたいんですけど、教えてもらえませんか？」<br />
笑顔はくずさないで、少し眉尻をさげた。こんな手に引っかかってくれるのかは謎だが、何もしないよりはましだ。<br />
勝呂は少し警戒した様子だったが、真摯さがつたわったのか、ようやく詳細をはなしはじめる。<br />
「&hellip;&hellip;こっちが寝とんのにいきなりはがい締めしてきて、あとは何やようわからんこというとったわ」<br />
「わからんことって何ですのん？」<br />
「&hellip;&hellip;俺にむかって自分のこと好きかとか、好きならキ&hellip;&hellip;キスしろ、とか何とか。とにかく、完全に女と間違えとった」<br />
きいた瞬間、恥ずかしさのあまり死にたくなった。<br />
いや死ぬのは怖いから、今すぐ走って逃げだしたい、いやいや、穴があったら隠れるのでもいい。とにかくこの場から消えてしまいたい。<br />
数時間前の自分は、勝呂にたいしていったい何を口走っていたのだろうか。いい加減二日酔いで疲弊した頭が、精神的ダメージをうけてさらに痛みをます。<br />
「それだけですか？　ほかに何もいうてませんでした？」<br />
そこで勝呂が口をつぐむ。どうやらまだ爆弾を落としていたらしい。<br />
「あとは、別にない。俺にむかって、好きや好きやいうてキスしろエッチしたいてうるさかったくらいや。あ、でも別に気にしてへんで。酔っぱらってほんとに女と間違うとったみたいやし、俺は気にしてへん。酒で失敗するくらい、みんなようあることや」<br />
身体中から一気に血の気が引いていく。羞恥をとおりこして自分がとんでもないことを告白したことに青ざめる。もう言葉もでなかった。<br />
「お、俺はほんまに気にしてへんぞ！　ほんまのほんまや」<br />
これ以上立っているのがつらくてふらふらと自分のベッドにむかい、顔面から布団にダイブする。枕に顔をうずめ、耐えきれない羞恥心にのたうちまわった。<br />
「おい、大丈夫か」<br />
心配げな声に片手をあげてこたえる。勝呂はそれ以上何もいわず、しばらくすると部屋をでていった。<br />
<br />
<br />
<br />
夜になり夕食をとるころには、三人のあいだで会話はできるようになった。<br />
混雑した食堂の長テーブルの端っこを陣取り、勝呂と子猫丸が並んですわると向かいあって志摩も腰をおろす。<br />
一緒に食事をとるのも気が進まなかったが、勝呂から変に気を使われるのも嫌で渋々でてきた。<br />
いつもはおかわりしても足りないくらいのごはんも、胸が苦しすぎて一杯を平らげるのに一苦労だ。<br />
とばっちりをくった子猫丸に申し訳なくて、ちょうどおかずに彼の好物がでたので半分おすそ分けしてやる。子猫丸はとても喜んでくれた。<br />
勝呂のすがたをちら見する。不機嫌ＭＡＸだった先ほどよりはマシというレベルで、まだかなりぎこちない。会話はしてくれるものの視線はぜったいにあわせないのだ。<br />
（めっちゃ気にしてますやん&hellip;&hellip;）<br />
こころのなかでツッコミをいれながら、志摩は深いため息を吐きだした。<br />
<br />
さて、どうしたものか――<br />
この状況で部屋にもどるのは気まずいので、食事をおえるとテレビ室で友達にまじってバラエティー番組をみることにした。けれど内容がまったく入ってこない。頭のなかは勝呂のことでいっぱいだった。<br />
勝呂のことは好きだけど、別にそれをつたえるつもりはなかった。どうせ相手にされないにきまっているからだ。むしろ気持ち悪いといって遠ざけられることのほうが怖い。<br />
ただちょっとムラムラがつのって、うまいこといいくるめてちょっかいをかけてしまったけれど、それも一過性のものでいいと思っていた。<br />
（坊はどう思わはったんやろ？）<br />
最初に怒ったくらいだから気持ちよくは思っていないだろう。ただ、口をきいてくれたことを考えると、絶縁されるという最悪の結末は回避できたと思って間違いない。<br />
（もう、坊に触ったりできひんのかな。こんなんやったら、キスとかもっといろいろしといたらよかったわ）<br />
何回目になるかわからないため息をついて、髪の毛をガシガシ掻く。<br />
うじうじ悩んでいると扉のある背後から声がした。<br />
「おい」<br />
振りかえると、勝呂だった。<br />
「ぼ、坊、何ですか」<br />
驚きと緊張で声がうわずってしまう。勝呂は何もいわず、顎で部屋にもどるように指示してきた。<br />
<br />
部屋には誰もいなかった。子猫丸は時間外の風呂にいったらしい。ということは、この空間は勝呂とふたりきりである。空調のきいた部屋は涼しく快適なはずなのに、志摩は無性に息苦しさをかんじた。ベッドに座る勝呂にならって、その隣に腰をおろす。<br />
しばらく沈黙が続いた。わざわざ子猫丸の不在をねらってよばれたということは、何か話があるはずだ。<br />
「あの、坊？」<br />
「今日いちにちずっとおまえのことかんがえとった」<br />
「はあ、すんません」<br />
「謝らんでええ。&hellip;&hellip;おまえホモなんか？」<br />
「&hellip;&hellip;えっらい、直球ですね」<br />
どうやら腹を割って話してくれようとしているらしい。なんだかんだで相変わらずの男気に惚れなおしそうだ。<br />
「どうなんや」<br />
「ホモやないですよ。俺、女の子好きですやん」<br />
「ほな何で――」<br />
「坊のことは好きですよ。尊敬しとるし、俺がついていくんは坊だけや。でも、それ以上でも以下でもあらへん」<br />
大好きなのでヤってしまいたい、というところはいわずにおいた。そんなどろどろした感情は勝呂にも知られたくない。<br />
「それは本音か」<br />
「嘘いうてどないするんですか」<br />
「せやな。&hellip;&hellip;ほな、質問を変えよか。おまえ、俺とヤりたいて思とるん？」<br />
耳を疑った。勝呂は何といったのか。<br />
気にしていないとあれほどいっていたくせに。<br />
消し去りたい過去を持ちだされて、腹立たしくなった。怒りにちかい感情が高まり額に汗がにじむ。それを収めようと、深呼吸してこぶしをきつく握りしめる。<br />
「&hellip;&hellip;それきいてどうしはるんですか」<br />
「どうって&hellip;&hellip;」<br />
「人のこころほじくっといて、まさかノープランやないですよね？」<br />
「何やそのいい方」<br />
「坊、気にしてへんていうてたやないですか。何でそんな話もちだしてくるですか。意味わからんし」<br />
喧嘩ごしにいいはなつと、勝呂の目つきがかわる。そこにははっきりと怒気が宿っていた。<br />
「志摩、質問に答えや」<br />
その眼力に圧倒されて、くやしさと苛立ちに唇を噛みしめる。<br />
「&hellip;&hellip;思うてますよ。坊のこと抱きたいて思うてます！　&hellip;&hellip;これで満足ですか！」<br />
叫んだいきおいで無意識に立ちあがってしまった。<br />
感情を暴かれるのはいやだし、本音をしられることも好きではない。なのに、どうしてこんなことをしてくるのか。<br />
「座り」<br />
みおろした勝呂は、熱くなってしまった自分とは裏腹にとても冷静なように映った。<br />
「周りくどいことせんと、そうやって素直にいうたらええやろ。&hellip;&hellip;というても、おまえの性格やったら無理か」<br />
<br />
ああ――、なるほど。<br />
いつもへらへらして上滑りなことばかり――、でもそれはただの隠れ蓑にすぎない。<br />
本当の自分は誰にもみせたくない、という秘めた感情を、何もいわなくても勝呂はちゃんと知っていたのだ。<br />
（やっぱり坊はすごいわ。ひとのこころも何もかんもお見通しや）<br />
なんども踏みしめられて硬くなった雪の塊が、春のひざしでとけはじめるように、閉ざしていたこころが勝呂にむかってゆっくりと開いていく。<br />
怒りで握ったこぶしは、いつのまにかほどけていた。<br />
<br />
ベッドに座りなおすと、勝呂の顔をみつめた。怒るでもなく照れるでもなく、いつになく真剣なようすだ。<br />
男からヤりたいといわれて気持ち悪いはずなのに、その真意がどこにあるのかわからないけれど、こんな自分にも向きあおうとしてくれる。<br />
<br />
（坊はほんまに優しゅーて人間が大きいなあ。&hellip;&hellip;やっぱり、俺は坊が大好きや）<br />
<br />
そう思うと、苦笑いがこみあげる。<br />
好きという純粋な思いと、勝呂への肉体的な欲求とその罪悪感と、いろいろな感情がせめぎあって落としどころがみつからない。<br />
抱きたいのは本当だけど、そうしたくないと思うのもまた真実だった。<br />
できるなら、このままこの関係を崩したくない。<br />
<br />
昂った感情がゆるやかにしずまってくると、しだいに気恥かしさが湧いてくる。<br />
勝呂に見守られているような感覚がくすぐったい。こんな痒い空気はすぐにぶち壊したかった。<br />
「俺の性格わかっとるんやったら、ほっといてくれたらええやないですか」<br />
志摩は俯いて、少し拗ねた口ぶりでいった。<br />
「感情を溜めこむんはようないからなぁ。スッキリしたやろ、ええガス抜きになったんとちゃうか？」<br />
「おかげさんで。&hellip;&hellip;それだけですか？」<br />
「溜めこんどるから酒に飲まれてひと襲いよんねん。お前はもうちっと、思うとるこというたほうがええで。そのほうが犠牲者もでんし、世のためや」<br />
「&hellip;&hellip;ほかには？」<br />
「&hellip;&hellip;ほかに何があんねん」<br />
「いや、俺の気持ちを悟ってくれて、一発ハメさしてくれるとか、そういうのは&hellip;&hellip;」<br />
もちろん無理だろうけど、一応確認してみる。これはこれで本音だ。<br />
「アホか、きっしょいこというなや！　みてみい、さぶいぼ立ってもーたやないか！」<br />
「え～～～！　ひどいわ、坊。完全に俺のこころ弄んだでしょ」<br />
「はあ？　冗談も休み休みにしいや。そんなんして俺に何の得があるんや」<br />
「坊、俺のこと嫌いなんですか？」<br />
「そんなんいうてへんやろ」<br />
「ほな好きなんですよね？　好きやったら一回くらい俺と&hellip;&hellip;わっ！」<br />
いいかけたところで胸倉を思いきり掴まれた。<br />
同時にドスのきいた恐ろしい声をつきたてられる。<br />
「おまえ、そういうところマジでウザいねん」<br />
<br />
<br />
<br />
「あれ、仲直りしはったんですか？」<br />
ぎゃーぎゃーいいあっているところに、風呂上がりの子猫丸がもどってきた。<br />
「「ぜんっぜんしてへん！！」」<br />
お互い掴みあいながら罵りあっているのに、子猫丸は何やら嬉しそうだった。<br />
しかし、さすがにこれ以上喧嘩するのも申し訳ないので手をはなす。<br />
「「ふん！」」<br />
互いに睨みあって背中をむけた。<br />
いったい、これのどこが仲直りしたようにみえるのか教えてほしい。いちど眼科でみてもらったほうがいいのではないか。<br />
せっかく静まっていた感情が、いいあいで再燃してしまった。プンスカ怒っていると子猫丸になだめられる。<br />
「まあまあ。志摩さんはちょっとお酒やめたほうがええですよ」<br />
たしかに、今回の原因は自分にあるのでぐうの音もでない。勝呂にも子猫丸にも迷惑をかけてしまった。<br />
「子猫さんにはえらい悪いことしてしもて、すんません」<br />
素直に頭をさげると、子猫丸を左右に首をふった。<br />
そして笑いながら、こういった。<br />
<br />
「坊も。そらファーストキスも大切ですけど、減るもんやないし志摩さんに奪われたことくらい許したってください」<br />
<br />
そのあと、ふたたび部屋のなかが凍りついたのはいうまでもない。<br />
<br />
<br />
（後編につづく）<br />]]> 
    </content>
    <author>
            <name>紺屋町</name>
        </author>
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    <published>2011-06-14T11:43:55+09:00</published> 
    <updated>2011-06-14T11:43:55+09:00</updated> 
    <category term="しますぐ" label="しますぐ" />
    <title>握ってもらった　R18</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[「ほな、僕お風呂入ってきます」<br />
「お～、いってらっしゃい。ゆっくり入ってきてください」<br />
<br />
腕のなかにタオルやら着替えやらの入浴セットをかかえて、子猫丸が部屋をでていった。今朝がた退院してきたものの、まだ完治していない腕を濡らさないようにしなければいけないので、許可をもらって既定の入浴時間外にはいることになったのだ。<br />
「なんや、大変ですねえ」<br />
すでに汗をながし終えていた志摩は、そんな子猫丸の後ろ姿をみおくりながらこっそり溜息をついた。<br />
<br />
大変――なのは子猫丸だけではない。勝呂も尋常にないくらい朝から機嫌が悪かった。それはそれで可愛いのだが、同時に若干面倒くさくもある。<br />
「坊、何してはるんですか？」<br />
声をかけたのに返事がないので、勉強机にむかったまま動かない勝呂に近付いてその背後からのぞきこむと、目をとじてぶつぶつと何かを朗読していた。手元に視線を落とすと馴染みのない文体の書物をひらいている。よくみると、それはマタイの福音書の一部のようだった。<br />
（え、坊てヨハネだけじゃなくてマタイ伝も覚えてはるん？　マジで？）<br />
何かもう頭よすぎて気持ち悪い。<br />
げんなりして顔をあげる。どうやら集中しているようだし、これ以上話しかけないでおこうと勝呂から離れ自分のベッドに戻ろうとしたとき<br />
「おまえ、俺に何かいうことないんか」<br />
と、とつぜんドスのきいた声でよびとめられた。<br />
「何かって何です？」<br />
いわれた瞬間、だいたいの予想はついた。けれど志摩はあえてそらっとぼける。にらみあげられるとその眼光の鋭さが迫力ありすぎて正直こわいのだが、真剣な勝呂のすがたは大好きなのでそれもまた嬉しかった。<br />
志摩がしらんぷりをすると、途端に勝呂の勢いがしぼんでいく。<br />
「だから、き&hellip;&hellip;昨日の&hellip;&hellip;」<br />
「昨日、何かありましたっけ？」<br />
「おまっ、&hellip;&hellip;俺に&hellip;&hellip;したやろ！」<br />
「何をですか？　はっきりいうてもらわんとわからへんのですけど」<br />
「志摩！　ええ加減にせぇ！」<br />
勝呂は勢いよく立ちあがって掴みかかってきた。襟ぐりを抑えこまれると、気道をふさがれて息ができず苦しい。<br />
「けほっ&hellip;&hellip;冗談ですて。離してください。&hellip;&hellip;もしかして坊、今日いちにちそのこと考えてはったんですか」<br />
<br />
朝一番に退院する子猫丸をむかえにいったときも、せっかくめでたいことだというのに勝呂はムスッとしていて、子猫丸と顔を見合わせたのを思いだす。<br />
そのあとはずっと三人で行動していたせいで二人きりになることがなかった。<br />
昨日寝込みを襲ったことについて、問いいいだす機会をうかがっていたせいで不機嫌だったのかと思うと、あまりにも可愛すぎる。頬がニヤニヤ緩むのを止められない。<br />
「何笑うてんねん」<br />
「すんません。&hellip;&hellip;昨日のことやけど、いうたやないですか、他人の手でしてもろうたほうが気持ちええからしましょーて」<br />
「いやいや、落ちついて考えや。男やで？　何がええねん」<br />
「え。&hellip;&hellip;ようなかったんですか？」<br />
たずねると、勝呂の頬が一瞬で真っ赤になった。<br />
（あ、よかったんや）<br />
わかりやすい反応にこころのなかで安堵する。そもそも気絶したくせに、あれでよくなかったなんていわれたら、かなりショックである。<br />
「あんま難しゅうかんがえんと、肩の力ぬいてもっと気楽にやりましょ。そのほういろいろ楽しいですよ、きっと。&hellip;&hellip;せやから、坊。せっかくやしいまからどうですか？」<br />
そういって笑うと、椅子にすわったままの勝呂に手をさしのべた。<br />
<br />
<br />
<br />
勝呂のベッドの上でにむきあって座り、自分の股間のものを取りだした。この状況に期待してか実は少し半勃ちになってしまっている。<br />
勝呂のも取りだそうと手をのばすと、<br />
「自分でやるわ！」<br />
と、はらわれた。勝呂が自分でパンツをずらしとりだしたイチモツはやっぱり少し勃起している。<br />
「坊&hellip;&hellip;、昨日も思うたんですけど、何でいっつも勃ってはるんですか？」<br />
「は？」<br />
「いやほら、昨日触ったときも勃ってましたやん」<br />
「知るか！　ボケ！」<br />
「えー、ボケて酷いわ。ほんまのこというただけやのに」<br />
ブーと唇をすぼめて不満を漏らしながら、勝呂の男根をにぎりしめる。温かい肉棒はちょっと扱いてやると、すぐにむくむく天をむいて起きあがった。ものすごく元気がいい。<br />
「ほら、坊も触ってください」<br />
勝呂の手をにぎるとビクッと反応された。ちらっと視線をやるとかなり緊張しているようだった。<br />
「あー&hellip;&hellip;、無理ならええですけど」<br />
いままでグイグイおしたのでこんどは少しひいてみる。すると、逆に火がついたのか勢いよく掴まれた。<br />
「いたっ！」<br />
「あっ、悪い」<br />
「もっと優しい感じであつかってくださいよー。自分でするときみたいに」<br />
「お、おう&hellip;&hellip;、すまん」<br />
<br />
勝呂の手のなかは温かかった。にぎったもののどうしていいのかわからないらしく、たどたどしい手つきで刺激される。無骨な指が本当に愛おしい。<br />
いままで想像したことはあっても、まさか本当にさわってもらえる日がくるなんて思ってもみなかった。感激で胸がじんじんする。<br />
（坊は真面目さんやからなあ）<br />
その性格が顕著にでたのか、どうやら昨日寝込みを襲ったことを本気で&ldquo;友達同士なら当たり前&rdquo;ととらえているらしかった。まさに、棚からぼた餅だ。<br />
男同士で扱きあうのは本当に経験したことだけど、実は一回こっきりだった。なぜかというと、気持ちいいけど相手が男と思うと何か集中できなかったからで、でもそのとき自分を握る手が勝呂だったらと想像した瞬間、熱が弾けたのだ。<br />
それ以来、何だか勝呂が可愛くみえてしまうし、いつかそういうことをしてみたいと、ずっとチャンスをうかがっていた。<br />
<br />
互いにことばも発することなく、ひたすら性器を擦りあって快感を追う。勝呂は昨日よりは落ちついているようで、声を我慢できている。でもそれはそれでさびしいものがあった。あの艶めいた声をもっときかせてほしい。<br />
志摩は少し悩んだあと、思いきって勝呂のＴシャツのなかに手をつっこんだ。掌で肌やわき腹をなでてかたい胸を揉む。<br />
「ちょっ、おまっ、何しとんねん！」<br />
すぐに鉄拳がとんできた。頬にくらったけどそれほど痛くない。もしかして本気で嫌がってはいないのだろうか。調子にのってちくびをキュッとつまんでみた。<br />
「んっ！」<br />
勝呂の身体がビクンっと反応して、手のなかの性器もいっしょにはねる。<br />
「志摩、マジでやめえって」<br />
「こんなん雰囲気ですやん。男でもここ弄ったら気持ちよーなれるらしいですよ」<br />
こりこりのちくびをこねくりまわしてやると、落ちついていた勝呂の声がだんだん荒くなってくる。その感じている表情をみてると、だんだん下腹部が熱くなってきて、握ってもらっている性器が本当に気持ちいい。<br />
でも、まだ足りない。もっともっとこの人がほしい。<br />
「坊、もう少しはよ動かしてもろてええですか？」<br />
ちょっと低めの声でささやいてお願いしてみる。勝呂は無言で扱くスピードをあげた。大きな手につつまれていると、本当に勝呂に挿入しているかのようでかなり気持ちがいい。<br />
（あー、やばいかも）<br />
うねるような熱い波が身体のなかで滾る。このままイケそうだ。うまくやれば同時にっても可能かもしれない。<br />
志摩は昨日みつけておいた、勝呂の弱いところを集中して攻めたてた。ぬるぬるになった性器の擦れるいやらしい音が耳にひびく。それを聞きながら上肢に顔をよせて乳首に唇ですいつくと、そのまま体重をかけて布団に押し倒した。<br />
ふいのことに、苦しそうな、それでいて喘ぐような呻き声が漏れる。<br />
（うわー、すっげえ）<br />
こころのなかで大興奮しながら、もっと感じてほしくて、ちくびをこすったり性器の先っちょや裏筋を弄くりまわす。<br />
すると、急に股間の気持ちいい圧迫感がなくなった。みおろすと勝呂が両手で口をふさいでいる。<br />
その瞬間、勢いよく白いどろっとしたものが握った怒張から噴きだした。びくっびくっと勝呂の身体がなんども痙攣する。<br />
（&hellip;&hellip;坊、イクんはやすぎや）<br />
快感をうしなってイキどきをなくしてしまった。がっかりして自分で自分のイチモチをにぎる。<br />
（まあ、でもこれはこれでおいしすぎるねんけどな）<br />
ベッドの上で服も半分脱げた状態でしかも精液まみれの勝呂のあられもないすがたなんて、写真におさめて永久保存しておきたいくらいだ。呼吸をととのえるのに必死でこちらの様子にはまったく気づいていないのをいいことに、乱れた勝呂をガン見しながら絶頂にたっした。<br />
<br />
<br />
「どうして窓をあけてはるんですか？」<br />
ほかほかのすがたでもどってきた子猫丸が不思議そうにきいてきた。<br />
「いや、風呂上がりやったら暑いやろおもて～」<br />
「そうなんですか。ありがとうございます。&hellip;&hellip;というか、坊はもう寝てはるんですか？　机の上、そのまんまですけど」<br />
ふだんならきちんと整理整頓をしてから眠るはずなのに、雑然としたままでベッドでうずくまっている勝呂はたしかにとても違和感がある。<br />
「何や、また頭痛うなったらしいねん」<br />
「えっ。大丈夫なんですか？」<br />
「あー、ほっといたら治るみたいやし。ここはそっとしとくためにも、テレビ室行きません？」<br />
いささか強引に子猫丸の手をひく。どろどろのすがたをオカズに抜いたことがバレて結局激怒させてしまった勝呂をのこし、志摩はそっと部屋の扉をしめた。]]> 
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    <author>
            <name>紺屋町</name>
        </author>
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    <link rel="alternate" type="text/html" href="http://28ayrd.3rin.net/%E3%81%97%E3%81%BE%E3%81%99%E3%81%90/%E8%A5%B2%E3%81%A3%E3%81%A6%E3%81%BF%E3%81%9F%E3%80%80r18" />
    <published>2011-06-14T11:39:49+09:00</published> 
    <updated>2011-06-14T11:39:49+09:00</updated> 
    <category term="しますぐ" label="しますぐ" />
    <title>襲ってみた　R18</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[（今や、今しかない！）<br />
<br />
部屋が真っ暗になると、しばらくして志摩は布団からぬけだした。<br />
そーっと、できるだけを音をたてないように反対側のベッドにちかづいて、すでに眠りについた勝呂の傍に顔をよせる。<br />
こんなに至近からみることなんて滅多にない。瞼をとじた寝顔は、眼光のするどさがなくなってふだんの数倍可愛かった。<br />
（あかん。可愛いとかいうたら、キレさせてしまうわ）<br />
感想はこころのなかだけにしておくとベッドにのりあげる。横たわる勝呂の身体をはさんで真上から見下ろした。空気も極力動かさないようにとそろりそろり行動したおかげか、勝呂はまったく目覚める気配がない。<br />
（よしよし、順調順調）<br />
今夜は勝呂とふたりきりでいられる最後の夜だった。明日には入院していた子猫丸がかえってくる。負傷した肋骨の痛みなんていってられない。<br />
（子猫さんには悪いけど、こんなチャンス当分こーへんやろし）<br />
音をたてず掛け布団を剥ぎとりTシャツをまくっておなかのあたりを掌で撫でた。<br />
<br />
「っ、何や&hellip;&hellip;！」<br />
「坊、しー」<br />
<br />
勝呂はすぐに起きてしまった。<br />
人差し指を唇にあてて静かにするようにうながす。別にふたりきりなのだからそんなに静かにしなくてもいいのだが、ひそひそしていたほうが妙な臨場感がでていい。<br />
勝呂の両足の間に腰をおろして動きやすい姿勢を確保した。<br />
肌に触れるなり一瞬にして覚醒してしまった勝呂は、何がなにやら状況を読みとれない様子で口をパクパクさせている。<br />
<br />
「静かにしといてください。すぐ終わると思うんで」<br />
「はぁ？　何いうとんのや、おま&hellip;&hellip;っ！」<br />
<br />
静かにっていってもきっとききやしないだろう。先に目的を達成させてだまらせるほうがきっと早い。<br />
勝呂の股間のイチモツを短パンのうえから握りしめてみると、途端に勝呂の身体が硬直するのがわかった。<br />
（あれ、勃ってはる）<br />
布越しにも熱がつたわるその男根は勃起していた。<br />
びっくりして顔をあげると勝呂は掌で自分の声を抑えている。声が漏れるのを我慢しているみたいだった。<br />
そんな姿はやっぱり可愛い。<br />
<br />
「坊、何やえっちな夢でもみてはったんですか？」<br />
「おまっ、何やねん！」<br />
「いや、だってこれ&hellip;&hellip;勃ってはるみたいやし」<br />
<br />
そこまでいうと勝呂の顔が真っ赤になっているのがわかった。<br />
本当は暗闇でみえないけど、空気でかんじる。きっと、今ゆでダコみたいになっている筈だ。<br />
<br />
「何しとんねんて！　離せっ、アホか」<br />
<br />
怒った勝呂に手をはらわれると、顔をちかづけてつめ寄る。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;何や」<br />
ものすごく警戒した声だ。でもそんなのにはめげない。<br />
「なんかムラムラしません？　せっかくやし抜きっこしましょーや」<br />
「&hellip;&hellip;はぁ！？」<br />
「他人の手のほうがぜったい気持ちいいですて。俺、中学の修学旅行でやったんですけど、めっちゃよかったですし」<br />
「何いうてんねん、志摩」<br />
「だから、ここ一緒にシコシコしましょって」<br />
<br />
股間を指さしていってやると、勝呂はポカーンと口をあけた。間抜けた顔がまた可愛い。<br />
（坊てほんまにかいらしいなぁ）<br />
勝呂が放心している隙がチャンスだ。志摩はふたたび性器をにぎりこむと上下に扱きはじめた。<br />
<br />
（たぶん、坊は快感に弱い）<br />
<br />
志摩はそう思っていた。一途な性格でストイックに鍛練にはげむ姿は同い年して脱帽するが、同い年だからこそこの快感には勝てないことも知っている。<br />
<br />
（こんな気持ちええこと、我慢できるヤツがおったらみてみたいわ）<br />
<br />
勝呂は禁欲的すぎる。だから、たぶんそれほど自慰もしていないのではないかとすら思えるときがあった。<br />
案の定、数回こすっただけでにぎった性器はさらに大きくなる。自分があたえた刺激で勝呂が興奮していることがわかると、つられてこちらも興奮する。<br />
<br />
気をよくして短パンのなかに手をいれようとしたとき<br />
「やめぇ！」<br />
と、手をはらわれた。<br />
「何でですのん。坊、こんなになってるやん」<br />
「男同士できしょいわ」　<br />
「たんなる抜きっこですて。坊、やったことないですか？　ふつうみんなやってますよ。ほら、気持ちええでしょ」<br />
<br />
いってからもういちど性器をにぎる。あいかわらずかっちかちで、いくら&ldquo;きしょい&rdquo;といわれても何の説得力もない。<br />
やはり勝呂は刺激に弱いのだと確信する。そうなると、口でいうより身体にきかせるほうが早い。有無をいわさず短パンのなかに手をつっこんで、性器を直につかんだ。<br />
（すげ&hellip;&hellip;）<br />
ダ イレクトにつたわる熱さがすごい。勝呂の興奮のすべてが一極集中していて、それを物語るかのようにどくんどくん脈打っているのがわかる。自分でするときの ように上下に扱き親指の腹で亀頭の括れのところや裏筋を擦ってやると、手を引き離そうと志摩の腕をつかんでいた手の力がだんだん緩んでくる。そればかり か、殺しきれない声が吐息にまじって漏れていた。<br />
（うわー&hellip;&hellip;、声もエロい）<br />
AVできくのより何倍もすごくて、思わず生唾をのみこむ。もっと勝呂を気持ちよくさせて、もっといろんな声がききたい。<br />
手の動きをはやめて、性器を追いあげる。先っぽの割れ目からぬる～とした汁がでてくると、それが全体にいきわたって滑りがよくなり扱くスピードがあがった。<br />
勝呂はもう抵抗できる状態ではないらしい。すでに志摩の腕から手が離れ声を漏らさないように必死に口をおさえて、いちど起きあがった布団の上にふたたびしずんでいる。<br />
仰向けになった身体が震えていた。我慢しているのだ。短パンを足の付け根までおろすと、いきりたったでかい雄が天井むいて飛びだした。<br />
<br />
ぐしょぐしょに汁の溢れた先端をぐりっと擦ると<br />
「やめっ！」<br />
と、とつぜん勝呂が起きあがってきた。<br />
びっくりして動きがとまる。でもそれは一瞬のことで、勝呂がいまイキかけたことを察した。<br />
「だしてええですよ」<br />
「アホか、自分でやるわ！　離せ！　志&hellip;&hellip;摩っ！」<br />
<br />
（坊はここが弱いんやな）<br />
割れ目を何回もぐりぐりしてやると、切羽詰まった勝呂の指が志摩の手を剥がそうとひっかいてくる。でもそれもやっぱり力がない。<br />
<br />
「ほんまに、&hellip;&hellip;あっか&hellip;&hellip;んっ、志摩っ、志摩！　&hellip;&hellip;駄目や、あか&hellip;&hellip;！」<br />
<br />
嫌がる声を無視していちばん感じるらしいところを刺激しつづけると、勝呂はとうとう身を捩って布団に顔をうずめて身体を痙攣させた。<br />
にぎった性器から生温かい液体がとろりと垂れおちる。イったのだ。<br />
（めっちゃ&hellip;&hellip;エロい）<br />
本当は気持ちいいくせにさいごは離せといってくるあたりがあまりにも勝呂らしい。<br />
（そういう素直やないとこも好きなんやけど）<br />
絶頂の余韻でなんども痙攣する身体を眺めながらそっと性器から手をはなす。みると、掌に大量のどろどろした精液が付着していた。<br />
<br />
「&hellip;&hellip;いったいどんだけ溜めてはったんですか」<br />
なかば呆れながら声をかける。怒られるかなと不安になったものの、反応はなかった。<br />
「坊？　え、坊&hellip;&hellip;？」<br />
身体を揺すると、力のぬけた腕がだらんと反対側にシーツに落ちる。勝呂は意識を飛ばしていた。<br />
（えーーーー！）<br />
衝撃でことばにならない。たかだかイったくらいで気を失うなんて、そんな話はきいたことがない。<br />
「マジですか、坊&hellip;&hellip;。つーか、これどうしたらええん&hellip;&hellip;」<br />
完勃ちした性器がいたくてツキツキしている。これから勝呂ににぎってもらおうと思っていたのに。<br />
（坊&hellip;&hellip;、刺激に弱すぎや&hellip;&hellip;）<br />
嬉しいやら空しいやら、パンツに手をつっこむと自分で自分のムスコを握りしめ熱を追いあげていった。<br />
<br />
<br />
おしまい<br />]]> 
    </content>
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            <name>紺屋町</name>
        </author>
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    <published>2010-08-03T16:57:50+09:00</published> 
    <updated>2010-08-03T16:57:50+09:00</updated> 
    <category term="２８" label="２８" />
    <title>柳生先生と仁王君　02：エロDVD編</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[人生最大の失態はなんですか？<br />
<br />
そうきかれたら即答できる自信がある。『生徒の一人と夕食を一緒にとる約束してしまったこと』――と。<br />
<br />
あれから一年、いまや糞ガキ仁王雅治は、すっかり柳生のマンションに入り浸りだ。あれからちゃんと学校にもくるようになったし、不登校も解決した。（原因は不明のままだが）<br />
もはやあの原因などはどうでもなかった。ただ大切なプライベートタイムが生徒により潰されていることに、激しい憤りをかんじていた。おかげでこの一年、ついに恋人もできなかった。<br />
<br />
「あっはｈっはっは！なー、これみんしゃい。マジおもろいのー」<br />
くだらないお笑い番組をみて、この世で一番憎たらしい男は腹を抱えて笑っている。<br />
「そんなもの、何が面白いのです。君ももう二年生なのですから、そろそろ受験のことを考えるべきです」<br />
テーブルの上の食器をかたづけながら説教した。すると仁王はすぐに起きあがり、片づけを手伝いはじめる。そればかりか、洗い物はすべて彼の担当だ。<br />
「ンー、受験せんかも。はよー自活したいんじゃ」<br />
「え、そうなのですか？」<br />
初めてきく本音におどろきを隠せなかった。<br />
うちの高校は進学校だ。そして仁王はたいして勉強もしている姿をみないのに、それなりの成績をキープしている。大学もよいところを狙える頭脳をもっている。だから、てっきり進学するのだとおもっていた。<br />
「なぜですか？」<br />
「家のジジョー。子供は子供でも色々あるんじゃ」<br />
仁王はキッチンで食器を洗いながら笑った。<br />
それ以上詮索するな――ということである。この一年、仁王のことをいろいろ知った。けれど九州にいる家族の話はあまりしない。きこうとしても詮索するなオーラがでているのだ。<br />
一年前はどうでもよかったことでも、一緒にすごした時間のおかげで誰より仁王のことが気になっていた。仁王は何が好きなのか、何の料理をつくったら喜んでくれるのか、家族はどんな人たちなのか、中学はどうった？小学生の頃は？知りたいことは山ほどあるのに、この半分もしらない。<br />
今仁王の一番近くにいるのに、進路のことすらしらなかったとは。<br />
（教師失格だな）<br />
柳生は表情にだすことなく落ちこむ。こっそりとため息をついた。<br />
「じゃ、センセー俺そろそろ帰るわ」<br />
仁王は洗い物をおえると、鞄を手にした。<br />
「待ちたまえ！」<br />
おもわず、その腕をつかんだ。でもそれは咄嗟の行動でその次に何をいいたいか、なんてかんがえていない。<br />
「どーしたと？」<br />
つかんだものの無言な様子に、仁王は首をかしげた。<br />
「も、もう時間も遅いのだから、・・・と、泊まっていきなさい」<br />
<br />
<br />
<br />
テーブルを壁にたてかけて来客用の布団をだした。<br />
「この一年、俺がどんなにいうても泊めてくれんかったくせに、どんな風の吹きまわしじゃ」<br />
清潔な白いシーツをしく。問いかけにはこたえなかった。<br />
「明日土曜日で予定もないし、バイトも夜からじゃし、今日は夜更かししよーおもうとったのに」<br />
ため息まじりのその台詞に顔をあげる。<br />
「もしかして、予定があったのですか？」<br />
「予定ちゅーか、コレみる予定じゃった」<br />
と、とりだしたのは、成人向けのＤＶＤだった。<br />
「明日家にかえってみたまえ」<br />
無反応でかえしてやる。<br />
「えー、今みたいんじゃ。なー先生だってみたいじゃろ？」<br />
「別に興味はありません」<br />
確かに、十七歳の頃なんて本当に猿みたいに毎日ムラムラしていた。けれど二十代も半ばになれば、むかしほどの性欲ももうない。<br />
「男なのにンなわけあるか」<br />
「君も大人になればわかりますよ」<br />
「枯れるんじゃったら大人になんてなりたくないの。ちなみにセンセーは童貞？」<br />
さらっと何をきいてくるのか。<br />
「仁王君、怒りますよ」<br />
「こたえんでもエエけェ、これみさして？な？」<br />
気持ちの悪い甘えモードの声で懇願される。もともと無理やり泊めた自責の念から、柳生はついに首を縦にふった。<br />
<br />
<br />
<br />
それは女教師凌辱ものだった。身体のラインがはっきりとわかるスーツを見にまとい、教師の演出なのか髪はきっちりと後ろで結ばれ眼鏡をかけた美しい女性が、古臭い学ランをきた男にレイプされる。その設定がもうダメだった。いくら性別がちがうとはいえ、教師という立場が自分と重なりすぎて気分が悪い。<br />
にも関わらず、隣の仁王をみるとすっかり興奮して画面に食いついていた。下腹部をみると明らかに勃起していた。<br />
チープな設定も佳境に入り、女教師はほぼスーツをはぎ取られ、パンストはびりびりに破かれる。嫌がりながらも足をひらき男根がはいる瞬間は、女優の嬌声と久しぶりにみた女性器の卑猥さでさすがに柳生も興奮する。<br />
熱くなった血が下肢に集中した。<br />
（やはりみるべきではなかったな）<br />
昂った熱を吐きだしくて吐息があがる。<br />
けれど生徒の前で恥ずかしげもなく自慰などできるはずもなく、宙に浮いた性欲がつらかった。<br />
「なー、この女センセーに似とるの」<br />
突然、仁王が口をひらいた。<br />
「誰先生に、ですか？」<br />
同僚の顔をおもいかえしてみるが、該当する若い女教師などいない。<br />
「だから、センセーにじゃ」<br />
と、指さされた。<br />
呆れて声もでない。いくら十代の性欲が猿だからといって、眼鏡をかけて喘ぐ女優が自分にみえるなど、もう思考が末期だとしかおもえない。<br />
「大丈夫ですか？私は男ですよ」<br />
仁王の額に手をあてて熱を確かめる。しっとりと汗ばんで熱を孕んでいた。相当興奮しているらしい。<br />
その瞬間、眼の前が回転して布団の上に仰向けに押し倒される。<br />
「な、ちょっとさして？」<br />
驚いているあいだに、Ｔシャツを破かれた。<br />
「やめたまえ！」<br />
払いのけようと暴れるとすぐさま両腕を破いたＴシャツでぐるぐる巻きにされる。<br />
「仁王君、からかうのもいい加減にしなさい」<br />
注意すると、真上から恐ろしい眼差しでみすえられる。獰猛な雄の眼だ。<br />
「俺本気ぜよ」<br />
「私は男ですよ」<br />
「知っとる。ここみりゃわかるぜよ」<br />
と、勃起した性器を布越しにつかまれた。<br />
身体中に快感がはしる。それ隠して睨みかえす。<br />
「だってあんなンみたら教師犯してやりとーなるじゃろ。そうおもわん？」<br />
「思いませんよ、頭がおかしいんじゃないんですか」<br />
「この状況でよーンなコトいえるの。まさか、本気で自分がヤられんとか甘えたコトおもうとると？」<br />
仁王はうすら笑みをうかべると、下着の中に直接手をつっこんできた。直に性器をにぎられた瞬間、あまりの快感に背筋がしなった。<br />
「あう！」<br />
おもわずでてしまった声に、慌ててぐるぐる巻きの手で口元を隠す。<br />
「こんな状況でも、ここビンビンってヤバくなか？普通萎えるじゃろ」<br />
「あっ、ンっ・・くっ、ンっ」<br />
他人の手にされるなんて久しぶりだった。気持ちよすぎてすぐに射精感にやってくる。<br />
「んっ、離し、離したまえっ！」<br />
「だーかーら！説得力なか。センセーすごいぜよ、声がマジ半端ねェ」<br />
仁王の手が一層はげしく動いた。物凄い速さで扱きあげられる。<br />
「本当に、離し、あっ駄目っ、本当に駄目っ」<br />
「何？まさかイキそー？生徒にしごかれイっちゃうと？『先生』」<br />
耳元でささやかれた瞬間、気持ちいい感覚が尿道から飛びだした。<br />
「駄目ぇっ！」<br />
びゅるるっと勢いよく精液が飛散する。数年ぶりの快感にその勢いは恥ずかしいくらいだった。<br />
ビクッビクッと余韻が全身をつつむ間もなく、今度は仁王の番とばかりにとんでもなくでかい怒張がとりだされた。それは血液が脈打ち、完全に大人のそれだ。<br />
「俺もイキたかー。な、これからどうしたらエエんじゃ？男って挿れるとこあると？」<br />
性欲だけが先走り、知識もない子供にこんなことをされるなど、激しい屈辱以外の何物でもない。何物でもないはずなのに、心が妙に高揚した。手ひどいことされたのに恥ずかしげもなく絶頂に達し、それをみても萎えていない少年のイチモツに流されてしまう。<br />
柳生は起きあがるとそれを怒張をくわえこんだ。でかすぎて入りきらないものの、それだけで充分なのか、仁王はすぐに喘ぎだした。<br />
「すごっ、気持ちよか・・っ、あ、出る！」<br />
ほんの数回じゅぷじゅぷと吸ってやっただけで、仁王の濃いのが口の中に吐きだされる。<br />
（いったいどれだけ興奮していたのか）<br />
心中でつっこみながら気持ち悪い他人の精液をシーツの上に吐きだした。<br />
<br />
身支度をととのえ互いに冷静になると、もうあとは沈黙しかない。仁王も最初はそんな気はなかったのだろう。困りきって顔をそむけている。<br />
柳生はシーツを新しいものにとりかえながら、呆れ気味にまたため息をつく。<br />
「いつまでそうしているのですか？そろそろ寝ますよ」<br />
「怒ってなかと？」<br />
「そりゃもちろん、物凄く怒っています。あんなことをされたのですから」<br />
だからといって、こちらもいい思いをしてしまったのだから強くいえない。精神的には拒絶していても結局のところ感じてしまったのだ。<br />
「私は女ではありませんし、男同士ならこういうことも時にはあります。だからお互い忘れましょう」<br />
性欲に流されてすっかり後悔しきっている姿が哀れでフォローをいれる。すると意外なところに食いついた。<br />
「え、もしかして男とヤったことあると？」<br />
「この話はもうおしまいです。さあ寝ますよ」<br />
「なーなー、どうなんじゃ？もしかして男同士のやり方しっとると？」<br />
「ではおやすみなさい」<br />
<br />
柳生は、パチリ、と明りをけした。<br />
<br />]]> 
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            <name>紺屋町</name>
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    <published>2010-08-03T15:34:30+09:00</published> 
    <updated>2010-08-03T15:34:30+09:00</updated> 
    <category term="２８" label="２８" />
    <title>柳生先生と仁王君　01：家庭訪問編</title>
    <content mode="escaped" type="text/html" xml:lang="utf-8"> 
      <![CDATA[高校教師生活三年目で、はじめてクラスを受けもつことになった。張り切っていたのも束の間、学年一の問題児、仁王雅治に手を焼かされることになってしまった。<br />
<br />
今日はその問題児の家に家庭訪問をする日だ。高校にもなって家庭訪問が必要な生徒というのも大概であるが、まだ六月だというのに一週間も無断欠席なのだから仕方ない。家に連絡しても誰もつかまることもなく、噂では親に買い与えられたマンションで悠々自適の生活をおくっているらしい。<br />
（こういうのが面倒だから、高校を選んだというのに）<br />
ため息をついて眼鏡をおしあげた。生徒の家庭事情などどうでもいいし、ただ好きな教科だけを教えていればいいと思っていた。仁王の銀色の髪と、やんちゃそうな顔が頭にうかんで苛々がつのる。<br />
<br />
柳生は大きく深呼吸してそれを打ち消した。これから会う相手に負の感情をみせるわけにはいかない。<br />
住所を頼りに目的地に到着する。眼の前の建物は、噂とは程遠いものだった。昭和の香りただよう二階建てアパートの一室、ここが仁王の自宅だ。<br />
「これが、買い与えられたマンションだって？まったく、人の噂とは本当にあてになりませんね」<br />
生徒たちの間でまことしやかにささやかれている噂に呆れた。<br />
該当の部屋をノックする。表札はなかった。ノックしてしばらくまったけど、反応がない。柳生はまたため息をついてもう一度扉をたたこうとしたその時、<br />
「あれ？センセー」<br />
背後からの声にふりかえると、仁王がたっていた。<br />
「どーしたと？」<br />
「どうした、ではないでしょう。私がきた理由はわかるでしょう」<br />
「アー、サボりすぎ？」<br />
「その通り。高校は義務教育ではないのですから、単位がなければ留年ですよ」<br />
「ンー、はいはい。とりあえず入れば？」<br />
仁王は鍵をあけることなくドアノブをひねった。<br />
（鍵をかけてもいないのか。何て不用心な！）<br />
驚いたのが伝わったのか、仁王は笑っていた。<br />
「とられて困るモンなんてなか」<br />
<br />
四畳半一間に簡易のキッチン、バスとトイレは一応ついているようだ。しかし、古い。その古さが汚くみえて、ついつま先で歩いてしまう。最低限の服と布団とテーブル以外は何もなく、つきあたりの窓からは風がそよび青色のカーテンがひらひらと揺れていた。<br />
「一人ぐらしですか？」<br />
「そーじゃ。親は九州。俺だけこっち」<br />
「そうですか。ごはんはどうしているんです？ちゃんと食べているんですか？」<br />
キッチンが使われた形跡がないことがきになってたずねた。<br />
「センセー、女みてェ。ウザいぜよ、そういうの」<br />
最近の子供なんて生意気な。心配をしてあげているのに、それを詮索ととらえるとは。<br />
また苛々がつのる。<br />
「あ、表情変わったのー。今イラっとしたじゃろ？ここに皺がよっとる」<br />
と、仁王の指で眉間を指さされた。<br />
それを掌ではらいながら、本題にはいった。<br />
「無駄な会話がお嫌いなようですから、用件を申しあげます。仁王君、どうして学校にこないのですか？」<br />
「まー、色々あるんじゃ」<br />
「このままでは本当に留年しますよ」<br />
「それもわかっとる。でも忙しいんじゃけェムリじゃ」<br />
「何にそんなに忙しいんですか」<br />
「それは秘密ぜよ」<br />
「仁王君！」<br />
理由もきけないのは困る。仁王につめよってその目を深くみつめた。<br />
「仁王君、君は強いですか？」<br />
「ン？まあそこそこ。あんま負けたコトないのー。もしかして力づく？」<br />
「腕っぷしではありません。精神的に、です」<br />
「ガラスのハートではなか。多分」<br />
それをきいて、にっこりを笑った。<br />
「それはよかった。ではいいますが、私は君の人生に興味などありません。君が何故学校に来ないのかも興味がないし知りたくもない。けれど教師として担任として、君の不登校を解決する義務がある。今日は来た以上、何らかの報告事案が欲しいんですよ。前向きなね」<br />
仁王は呆気にとられていた。<br />
「付け加えますと、来ないなら退学していただきたい。そうすればこんな面倒事に巻き込まれずにすみます」<br />
「あんた、最低じゃな」<br />
「教師も人間ですよ。聖人君子ではありません」<br />
「俺、普通に傷ついたぜよ」<br />
「おや、ガラスのハートでしたか」<br />
「ガラスではなくても今のは傷つくじゃろ」<br />
「で、どうするんですか？退学するなら段取りしますよ」<br />
「って、俺を登校させるために来たんじゃなかと？」<br />
「教師としてはそのような趣旨で来ていますよ。でもそれと私の本心は別です」<br />
「大人って怖いのー」<br />
「何ですか、もしかして構ってちゃんでしたか？相手がひいたら構いたくなるタイプですか？」<br />
「センセー、俺まだ子供なんじゃけェ、ちっくと手加減しいや」<br />
どうやら言いすぎたらしい。仁王は本当に傷ついた表情をしていた。<br />
「なら、学校にきてください」<br />
仁王は少し間をおいて、「わかった」といって顔をあげた。<br />
「その代わり、条件があるぜよ」<br />
（条件？何を偉そうにそんなことをいってくるのだろうか）<br />
また眉間に皺をよせて仁王を見かえした。<br />
「俺、一人で寂しいんじゃ。じゃけェ、毎日俺と一緒に晩メシ食べて？」<br />
その言葉に、硬直するしかなかった。<br />
「はあ！？！？！？！？」<br />
「ダメ？」<br />
「いや、待ちたまえ。何故私が自分のプライベートな時間を削ってまで、君とともに過ごさなくてはならないのですか」<br />
「だって漫画とじゃと、センセーが親身になってくれたりしとるし」<br />
「虚構と現実の区別もつかない子供と同じ空間にいたくはありません」<br />
「じゃー、学校にもいかんし退学もせん。ついでにアンタにいわれたことをマスコミにいってやる」<br />
形勢逆転。今度はこちらの分が悪くなる。<br />
どうせ思いつきでいっていることだろうし、そのうち飽きるだろう。柳生はそれ以上抵抗せず、渋々承諾した。今後、卒業まで仁王と夕食タイムをすごすということを。<br />
<br />
<br />]]> 
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    <published>2010-06-15T14:25:23+09:00</published> 
    <updated>2010-06-15T14:25:23+09:00</updated> 
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    <title>追う仁王と逃げる柳生 01</title>
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      <![CDATA[白いシーツがよれよれになっていた。柳生はベッドの上でのんべんだらりとすごす。こんなに怠惰な一日をすごしていていいのだろうか、という不安はあったけれど、下半身の鈍痛でうごけなかった。<br />
ゆっくり足をうごかすと、痛みがます。それにシーツに散った血がみえて不快だった。先ほどまで鮮血だったのに、いまはもうどす黒くかわっている。結構な時間が経ったのだと悟る。<br />
<br />
仁王はシャワーを浴びていた。早くでてきてほしい。ひとりだと心細い。そんな心中がつうじたのか、浴室から扉のあく音。ああ、仁王がでてきた。<br />
それから柳生もシャワーを浴びた。はじめて受けた身体の傷はすさまじく、浴室まで仁王に抱えられて移動した。仁王はひどく優しかった。<br />
熱い湯を頭から全身に浴びていると、股の間からどろりと何かがあふれる。みるとそれは先ほどまでの情交の残骸だった。誰にみられたわけでもないのに、柳生は急に恥ずかしくなって掌で顔を覆う。<br />
いくら好きだからといって、仁王の目に何もかもを曝けだしたのは、穴に入りたいほどの気分だ。<br />
（あんな汚いところを舐められて、それに仁王君のが私のなかに入ってきて&hellip;&hellip;）<br />
おもいかえすと身体が震える。恐怖と羞恥と、ほんのかすかな男としての矜持がまざりあって、涙が滲んだ。悲しいわけでもないのに泣きたくなることもあるのだと、柳生ははじめて知った。<br />
それは中学の卒業式の前日だった。<br />
<br />
<br />
<br />
高校に進級すると、急に忙しくなった。二人の時間がなかなかとれず、柳生は勉強と練習の両立に四苦八苦していて、あまり仁王のことをかんがえている余裕はなくなっていた。<br />
練習がおわるとあわただしく着替えて帰宅する毎日。今日は部活後の予定のために柳生はあわてていた。そこに仁王がくる。<br />
「なー、今日ヒマ？」<br />
「いえ、この後家庭教師の先生が来るので。&hellip;&hellip;すみません」<br />
さいごは視線をあわせずつげた。申し訳なくて顔をみれない。<br />
「最近、ずっと忙しーんじゃの」<br />
仁王の声はあきらめが混じっていた。<br />
「すみませ」<br />
「ちょっとこっち来ィ」<br />
もういちどの謝罪をさえぎって腕をひかれると、ロッカーの影につれていかれる。<br />
「仁王く&hellip;&hellip;」<br />
「しっ」<br />
仁王はいたずらっこのように笑って口元に人差し指をたてた。おもわず口をつぐむ。<br />
薄暗い影のなかで向かい合うと、世界がふたりだけのようにおもえた。仁王は優しいまなざしをしている。<br />
「ちょっとだけ」<br />
と、腕がのびてきた。<br />
仁王の長い腕に抱きしめられる。おもってもみないことに、顔が熱くなった。仁王の体温を感じるなんて、中三のあの日以来だ。<br />
（嬉しい）<br />
そうおもっても、抱きかえすこともできない不器用な性格だった。<br />
たってるだけしかできないのに、仁王は何もいわない。ただ、唇が耳朶にちかづくとビクッと身体が反応した。耳は感じやすい場所だ。<br />
「何もせんて」<br />
小声でささやかれる。それだけで背筋に快感がはしった。<br />
何かしないというその台詞がもう何かしていることになっている。柳生は耐えられなくなった。<br />
「仁王く、ん。あの、もう」<br />
そっと柳生の身体をおしかえす。<br />
恥ずかしくてたまらず、柳生は俯いた。耳まで熱くなっている顔をみられなくない。<br />
「部活終わったあと、予定のないときなか？」<br />
「日曜なら少しだけ」<br />
日曜日は唯一家庭教師のない日だ。<br />
「そんとき、ちょっとだけよか？」<br />
俯いたまま頷いた。<br />
「ンじゃ、つぎは日曜な」<br />
仁王のいうまま約束をする。今まで勉強にむいていた気持ちが、一気に仁王に引きもどされる。<br />
家に帰る道を足早にあるきながら、柳生の心は浮足だっていた。<br />
<br />
たった一つの約束だけで、柳生の心は仁王でいっぱいになっていた。<br />]]> 
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